宇宙で最初の星はどうやって生まれたのか
吉田直紀 著
宝島社新書 330、宝島社
刊行:2011/10/22
福岡姪浜の福岡金文堂姪浜店で購入
読了:2012/08/26
著者の専門のファーストスターの形成とその周辺の話(ビッグバン等)が書かれている。
比較的薄い本なのですぐに読める。
ファーストスターは、宇宙誕生から3億年くらい経ってからできる
初めての星(宇宙全体にはたくさんあるけど)で、水素とヘリウムだけからできている。
ダークマターによってガスが引きつけられて形成し、
質量は太陽の30〜100倍くらいと重く、したがって寿命は短いと考えられている。
最近研究がさかんに行われているようである。
最後の章が宇宙に関するQ&Aになっている。それに関して気付いたことを二つばかり。
- Q4 に関して:われわれの銀河系とアンドロメダ銀河の衝突の話が書かれている。
この話は最近話題になっているみたいで、Nature Vol.488, 30 August 2012, pp.600-601
の News & Views の題材になっていた。それによると、アンドロメダ銀河の天球上の運動が、
誤差は大きいながらも一応分かったそうで、それから計算すると、
約 40 億年後にわれわれの銀河とアンドロメダ銀河が1回目の最接近をして、
それからさらに 20 億年経てば、二つの銀河は合体するのだそうだ。
そのころ太陽は主系列を外れかけているはずである。
- Q9 に関して:月は地球から遠ざかり続けるようなことが書かれているが、
月と地球の間の潮汐の影響は、地球の自転周期と月の公転周期が一致するとおしまいになるので、
ちょっと変である。地球の自転周期と月の公転周期が一致するときは、ちょっと計算すると、
月と地球の間の距離は今の2倍までは行かないことがわかる。一方、地球のヒル半径は
今の月と地球の間の距離の4倍程度なので、
地球の自転周期と月の公転周期が一致しても、月は地球の衛星であり続けると予想できる。
もっとも、太陽と地球との潮汐も考えるとその続きもあるのではあるが。
ミスプリ一つ発見:
p.170 (誤)時間軸に対して対象 (正)時間軸に対して対称