というわけで、雰囲気のわかるまとめ的な文を2つ引用してみて、 どういうことが語られているのか考えてみよう。 まず、「II 世界とは解けない問いである 2 世界とは何か [2] 出来事のロジック」の最後の段落である。
進化は、おもいもよらない異質な器官を利用したり、ハイブリッドな接合をなしたりして、 分散するさまざまな眼を、それぞれが特異な出来事として生みだしていく。 そしてわたしたちが、この世界に投げ込まれ、見えない全体を見渡しつつ、 たくさんの折り合わない事柄を同時に抱えながら、それでも前に進んでいくとき、 それは進化のあり方と同様に、ひとつひとつが特異な出来事である。 それは、主体的な決断からはほど遠く、不条理としかいえないパラドックスのなかを かき分けながら、いずれかの解決へと暫定的にたどり着いていく、 そうした生の運動のことである。私なりに無味乾燥にパラフレーズすると以下のようになる。
進化は、少しずつ起こるしかないので、ありあわせの材料から新しい器官を作る。 同じ機能の器官が、異なる由来の器官から収斂進化することがある(相似)。 私たちが世の中で生活するときも、世の中全体が見えているわけでもないし、 周囲の社会にはいろいろ不条理なこともあるから、行きあたりばったりに、 当座の解決をしないとけいないこともある。最善の解決とは言えないけど、しょうがない。 生きるというのはそういうことである。こういうふうにパラフレーズするとわかりやすい。神秘的なところが無くなるけど。 なぜこういう具合に言わないのかが不思議ではある。
次に、「II 世界とは解けない問いである 2 世界とは何か [3] 個体化と分化のプロセス」 の最後から2つ目の段落を見てゆく。
特異な個体が、未決定的なシステムを支えていく。そうしたシステム論が描かれなくてはならない。 多様に分散し、それぞれが異なった個体によって、世界がつくりあげられていることを肯定する 存在論が構想されなければならない。やはりパラフレーズしてみよう。
個体はそれぞれ違うということもシステム論に組み入れよう。 システムの規則が予め決められていなくて、動作しながら決まってゆくということも システム論に組み入れてゆこう。 そのようにして、多様な存在や現象があるということを 真正面からとらえるということになるだろう。これも以上のように言い換えるとわかりやすい。私はこんな感じでパラフレーズしてわかった気になっている。見かけほど分かりにくいということはなさそうだ。