実践 日本人の英語

Mark Petersen 著
岩波新書 新赤 1420、岩波書店
刊行:2013/04/19、刷:2013/05/15(第2刷)
九大生協で購入
読了:2013/07/21
著者の英語に関する岩波新書の4冊目である。前の3冊も以前に読んでたいへん勉強になったので、4冊目も買ってしまった。 おもしろいので、1日で読んでしまった。この本も勉強になる。

内容的には前の3冊と重なる部分もあるが、本書ではとくに英作文の授業の経験をもとにして 日本人が英作文で犯しやすい間違いが取り上げられている。私たちが学生の英語を見ているとよく出会う because 問題、すなわち主節無しで あたかも副詞であるかのように because を使うこと、も取り上げられている。この主節無し because は、「なぜなら」の直訳であるとも取れる。

いくつかメモしておきたくなったことをメモしておく。これらは今までちゃんとは知らなかったことである。

could, would と仮定法
could や would の入った肯定文でとくに時の指定が無ければ、仮定法過去であると受け取られる。否定文であれば、仮定法か直説法かが曖昧になる。 たとえば、I could meet him in New York. は、「私は、ニューヨークに行けば彼に会えるはずだ」と受け取られる。
「~だけ」は alone を用いるとうまく訳せることがある。
A single logic array alone will be sufficient for this computation. この計算には、1つの論理配列だけで十分である。
Simply taking care of a single dog alone requires quite a lot of effort. たった1匹の犬の面倒を見るだけでも、かなりの努力が必要となる。
Roberto alone uses Italian. イタリア語を使うのはロベルトだけだ。
因果関係を表す接続詞と副詞
ゆるい因果関係は and。緊密な因果関係は、because, since。さらに緊密で当然の結果を表すときは、so。
当然の結果を表す副詞(句)に、therefore, accordingly, as a result などがある。とくに As a result, は、単なる「その結果、」ではなく、 「その必然的な結果として」という意味になってしまう。単なる「その結果」にしたいときは The resulting ... is ..., The result of ... is ... などを用いる。
など
「など」で and so on はできるだけ使わない。
本当に「など」の意味ではないフィーリングの「など」は英語には無いので使わない。
本当に「など」のときは such ... as ... や ..., including ... を用いる。
2ヶ所誤りだと思われる箇所を見つけた。because の否定の訳し方である。これは実際ややこしい。p.155 では2つの解釈が正しく書かれているのだが、 以下の誤りがある。 もともと I was not happy because she gave me a harmonica. みたいな文は紛らわしいので使ってはいけないということだけど。