デザイン 知らないと困る現場の新常識 100
伊達千代・内藤タカヒコ・山崎澄子・長井美樹 著
エムディーエヌコーポレーション
刊行:2010/10/01、刷:2011/05/21(第3刷)
福岡天神のジュンク堂書店福岡店で購入
読了:2014/10/14
グラフィックデザインの教科書で、学科のチラシを作るときの参考に見てみた。
ソフトとしては Adobe Photohop、Illustrator、InDesign を使うことを想定してある。
いろいろ参考になることが書いてあったので、以下にメモしておく。とくに色に関する基礎知識を私は知らなかったので、役に立った。
- 色
- RGB は光の色なので、画面上での色の指定としてはふさわしい。
- RGB にも「sRGB」「Adobe RGB」といった規格がある。これらで、再現できる色の範囲が異なる。sRGB は主にモニタ用の規格である。
Adobe RGB の方が範囲が広いので、印刷用にはこちらがよく用いられる。
- CMYK はインキの色なので、印刷用には最初からドキュメントのカラーモードとしてこれを指定しておくのが良い。
(Illustrator CS5 では、「ファイル」→「ドキュメントのカラーモード」)
- RGB と CMYK とでは表現できる色空間の領域が異なる。すなわち、画面上で表現できる色でも印刷で表現できるとは限らないことに注意する。それで、印刷用では最初から CMYK モードにしておかないと思ったような色に仕上がらないことがある。
- HSB(Hue 色相、Saturation 彩度、Brightness 明度)は、配色を決めるのに便利。
- HSB のどれか2つをそろえて、残りの一つで変化を付けるのが良い。グラデーションもそれで3種類できる。
- S と B の組(トーン)をそろえると、たくさん色を使っても調和的になる。
- 色相環は配色を決めるのに便利。反対側にあるのが補色。三角形の関係にあるものはぶつかり合うので、彩度を低くして使う。
五角形の位置にある配色はバランスが良い。赤系統が暖色、青系統が寒色、緑やマゼンタが中間色。
- はっきり見せたいときは、明度に差を付けるのが良い。明度に差が無いと文字などは読みにくい。
明度に差がつけられないときは文字に縁取りを付けるなどする。
- デバイスに依らない色の尺度として「CIE カラー」(CIE は「国際照明委員会」)がある。
- Adobe Photoshop において、色空間の確認・指定などは、「編集→カラー設定」「編集→プロファイルの指定」「編集→プロファイル変換」などで行う。
- フォント
- データのファイル形式には、OTF (Open Type Font)、TTF (True Type Font)、Type 1 Font、CID-Keyed Font がある。
現在は OTF が標準。Mac と Windows の両方で使え、文字詰めの情報も持っている。
CID-Keyed は、以前の Mac 標準。TTF は主に画面表示用で、Windows でよく使われている。
Type 1 は、PS フォントの一種。
- 解像度
- 印刷に使う画像の解像度は 300~350 ppi (pixel per inch)。
- モニタ表示用の画像の解像度は 72 ppi。
- Illustrator に写真を取り込むときは、あらかじめ Photoshop で大きさと解像度を出来上がりに合わせてリサイズしておくのが良い。
そのためには、「イメージ→画面解像度」を用いる。
- 長さの単位
- ポイント [インチ系] 1pt=1/72inch=0.3528mm。28 pt が約 1 cm になる。
- 級(Q)と歯(H) [メートル系] 1Q=1H=1/4mm。日本の単位で、Q は文字サイズの指定に、H は行送りの指定に用いる。
- 文字の大きさの目安:9pt ~ 3mm = 12Q、12pt ~ 4mm = 16Q、15pt ~ 5mm = 20 Q。
- 文字の最小サイズは 5pt = 1.77mm ~ 1.75 mm = 7Q にとどめておくのが良い。それより小さいと読めなくなることがある。
- トンボ
- 内トンボは、仕上がりの大きさ。
- 外トンボは、裁ち落としのために塗り足しておく部分も含めた大きさ。
- ファイル形式
- 画像の作業は、可能な限りずっと PSD 形式で行うのが良い。PSD だとレイヤー構造を保持できるので、やり直しが容易。
- いろいろな画像ファイルの形式の特徴:
- PSD : Adobe photoshop 純正。DTP では、今や主流。
- EPS : 以前は DTP の標準であったが、レイヤーなどを保持できないので、今では PSD の方が主流。
- JPEG : Web やデジカメではよく用いられる。非可逆圧縮されるので、画像を保存するたびに劣化が起こる。
- TIFF : OS やアプリケーションに依らずコンピュータ上では広く使える。可逆圧縮や非圧縮も選択できて、汎用性が高い。
- 印刷用には PDF/X-1a の形で入稿することが多い。その規格に準拠しているかどうかを調べるには、
Adobe Acrobat Pro で、「表示→ツール→印刷工程→プリフライト→プロファイル→PDF/X-1a への準拠を確認」と進む。