永遠の0 [コミック版、全5巻]

百田直樹 原作、須本壮一 作画
双葉社 [電子書籍]
刊行:2010/07/28(第1巻)、2010/11/27(第2巻)、2011/07/28(第3巻)、2011/11/28(第4巻)、2012/04/28(第5巻)、刷:すべて第1刷
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読了:2014/02/中旬ころ
2か月くらい前に読んだのだが、メモする暇がなく、しばらくたってからのメモである。 ベストセラーになった本のコミック版で、お手軽に読めて良い。

ゼロ戦乗りの感動の物語ということで、もちろん感動した。本当にこんなゼロ戦乗りがいたかどうかは別として、カッコ良いわけで、 良く売れるのももっともである。ゼロ戦乗りの主人公宮部久蔵の孫が、祖父の生涯を少しずつたどってゆくという筋である。 最初は、宮部久蔵は臆病者だったという話から始まり、やがて、実は凄腕で妻を愛していた立派なパイロットだったということがわかってくる。 囲碁が強くてプロになりたかったというのも、囲碁好きの私としてはうれしい話である。

ただ、気になったのは、おそらく朝日新聞を揶揄するために描いたと思われる新聞記者高山隆司の描き方があまりにも薄っぺらいことだ。 彼は特攻と自爆テロ攻撃を同一視しているということで、何もわかっとらん奴だという描き方をしている。 とくに、自爆テロは一般市民を殺そうとし、特攻隊は相手の軍艦や爆撃機を狙ったものだから全然違うのだと批判している(第4巻第三十話)。 もちろん、戦争では相手の軍人を殺すことが目標となるのはこれはしょうがない。しかし、問題は、自爆テロをここまで薄っぺらく悪事だと とらえる捉え方にあると思う。神風特攻隊に思い入れがあって良く描きたいならば、自爆テロの悲劇性にも思い至ることができるはずだと思う。 アメリカの空爆も、一般市民を殺すことになることが明白なので、その意味ではテロである。一方で、いわゆる自爆テロにも 軍人だけを狙ったものもあるだろうし、何でも十把一からげにテロと称して貶めることの浅薄さにも気付いてよいと思う。 そこまでして朝日新聞(に代表される言説)を批判するのは、ちょっとイヤったらしい。