オペラ座館殺人事件/異人館村殺人事件/雪夜叉伝説殺人事件 [金田一少年の事件簿 1~4巻]

金成陽三郎 原作、さとうふみや 漫画
講談社コミックス (KC) 1874(第1巻)、1895(第2巻)、1914(第3巻)、1941(第4巻)、講談社
刊行:1993/02/17(第1巻)、1993/04/17(第2巻)、1993/06/17(第3巻)、1993/09/17(第4巻)、 刷:1995/06/26(第15刷;第1巻)、1995/03/03(第13刷;第2巻)、1995/10/20(第19刷;第3巻)、1995/06/01(第10刷;第4巻)
福岡の古本屋 BOOK OFF 福岡天神店、西新店、マンガ倉庫箱崎店で購入
読了:2014/05/06
床屋でうっかり途中まで手にとって読んでしまったので、続きが気になり BOOK OFF等で購入。

金田一少年シリーズは、けっこう陰惨な事件が起こる。この最初の三話も連続殺人事件である。 共通する点は、すべて復讐劇と言う形を取っているということである。計画的連続殺人となると、 動機は復讐くらいしか思いつかないということかもしれない。まあ、確かにそんなものだろう。 必ずしも悪人ではない人がとばっちりを食らって被害者になったりしているので、後味はあまり良くない。 でも面白いのは、連続殺人のプロットが複雑な点である。よくこのような事件が解決できるなと思う。 小説ではなくて漫画なので、よくよく見直すと、伏線だとか目くらましになるような絵だとかがいろいろ挟み込まれていることがわかる。

第1話の「オペラ座館殺人事件」は、絶海の孤島で「オペラ座の怪人」を下敷きにして連続殺人事件が起こるというわけで、 クリスティの「そして誰もいなくなった」を髣髴とさせる。もっとも、今の場合は最後は誰もいなくなるわけではない。 連続殺人の動機は、過去に自殺した恋人の代わりの復讐である。

第2話の「異人館村殺人事件」は、これも六角村という孤立した村で起こる連続殺人事件で、やはり「そして誰もいなくなった」を思い出させる。 こちらでは、最後には六角村の人々が連続殺人で最後には皆死んでしまう。ただし、「そして誰もいなくなった」と違うのは、 最後に主犯が自殺するというわけではないということである。主犯は金田一少年に追い詰められそれに逆襲したところで父親に殺される。 そして、その父親は自殺する。連続殺人の動機は、これまた過去の悪事に対する復讐で、こちらの犯人は過去の悪事の被害者の息子である。

第3話の「雪夜叉伝説殺人事件」も、孤立した山荘「氷室画伯邸」で起こる。犯人は、かつて自分の母親を見殺しにした4人を次々に手にかける。 これは、とばっちりなくきっちり4人が殺されるという筋になっている。