ホテルに騙されるな!~プロが教える絶対に失敗しない選び方~

瀧澤信秋 著
光文社新書、光文社 [電子書籍]
刊行:2014/04/20、刷:2014/05/09(電子書籍版)
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読了:2014/11/10

「ホテル評論家」として、ネット発信をいろいろしている著者が、ホテルの見方をまとめてある本。 それなりに面白いけれども、かといって、本の題名のように、これを読んだら騙されなくなるわけでも失敗しなくなるようになるわけでもない。 著者お薦めのホテルはいくつか紹介されているけれども、名指しの批判はしていないので、やや生ぬるい感はある。 まあ、仮に名指しの批判をしていたとしても、ホテルはサービス業なので、しようと思えばすぐに改善できるし、 もしそうしたら批判が本に残るのも問題ということもあるだろうから、名指しはしづらかったのだと思う。

著者がどういう観点でホテルを評価しているかは、巻末の特集①で「人気宿泊特化型ホテルチェーン徹底比較」をしているのを見ると良く分かる。 ここでは、東横イン、アパホテル、コンフォートホテル、スーパーホテルの4チェーンの比較をしてある。 観点は①寝具(とくに、デュベスタイルかどうか)②スリッパ(「お持ち帰り」か「ウォッシャブル」なら○)③仕事環境(デスクが十分に広いかどうか) ④無料朝食⑤浴室(大浴場の有無など)を大きく取り上げてある。 確かに、そういわれるともっともな観点が並べてあると思う。ビジネスホテルの快適さはこんなことで左右されるのは確かだ。 本論には、ビジネスホテルだけでなくて、もうちょっと高級なホテルの事も書いてあって、そこでは「おもてなしの心」(要するに気配りの緻密さ)も 重要ポイントになっている。これまたもっともなことである。

以上のようなポイントは、確かに利用者の快適度を示しており、利用者目線の評論家を自称する著者としてはもっともな点ではある。 しかし、題名のように「騙されるな」ということになると、本当はもうちょっと裏のことが知りたい。その点は、それほど追及されてはいない。 耐震偽装や食品偽装が表面上はわかりにくい「騙されるな」問題の例であり、それらの話題も本書に出てはいるけれども、追及はそれほど厳しくはない。 たとえば、耐震偽装で問題になったアパホテルも好意的に紹介されているし、食品偽装で問題になったルネッサンスサッポロホテルも おすすめホテルに入っている。食品偽装はかなり多くのホテルが問題になったのでいちいちダメだと言えなくなったのかもしれないが。 というわけで、本書の眼目は、ホテルの宿泊経験が多い著者に、泊まってみて快適なホテルとその特徴を教えてもらう、ということになる。

しかし、ホテル業界も変化が激しい。p.81 で紹介されている「ハイランドリゾートホテル&スパ」の 「エヴァンゲリヲンルーム」は 2014 年 9 月に終わったみたいだし、p.82 の「横浜桜木町ワシントンホテル」のニッセンとのコラボルームも 今のホテルのホームページには見当たらない(探し方が悪いのかもしれないが)。