本書は「はやぶさ2」の開発担当者へのインタビューを中心にして、「はやぶさ」の成果をまとめるとともに「はやぶさ2」計画の解説をしている。 サマリーは作らないが、いろいろたいへんなことがあるのだということがわかる。 著者は、日経BPウェブサイトに「山根一眞のポスト3・11 日本の力」なる記事を連載しており、そこにも「はやぶさ2」関係の取材メモがある。 合わせて読むと面白い。
私が学生のころは、固体惑星系の探査は日本では行われておらず LUNAR-A の計画がようやく始まったところだった。 そのころからサンプルリターン計画の構想はあったが、まだだいぶん先のかなりハードルの高い夢という感じだった。 それが「はやぶさ」を経て「はやぶさ2」へと受けつがれるようになったとは、驚くばかりである。 当時、優秀な学生が固体惑星探査に参加し始め、LUNAR-A の挫折などありながらも、よくここまで来たものだなあと感心する。 もっとも、工学系の方からみると、糸川英夫のあたりからロケット開発の伝統がある中で、サンプルリターンという挑戦的な課題が 目の前に出てきたので積極的にやってみたということだろうとは思うが。