介護だって、やっぱり金儲け 全てのしわ寄せは働き手と高齢者に

朝日新聞(西井泰之、松浦新、大鹿靖明、横枕嘉泰、松田史朗、西崎香、吉田拓史)著
朝日新聞 select、朝日新聞社 [電子書籍]
刊行:2013/11/22 (WEB 新書版)、2014/02/28 (EPUB 版)
初出:朝日新聞 2013/09/29-10/21
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読了:2015/03/05
朝日新聞の切り売りである。介護施設も投機の対象になって、中身は貧弱になっているという話だ。これを読むと、親の介護やら自分の老後やらが思いやられて、ひどく心配になる。 「ワタミの介護」がけっこう槍玉に上がっているのが目立つ。

「介護を成長産業に」などという旗印はやっぱりおかしいと思える。福祉で儲けるとか、環境で儲けるとかいったようなものには、ろくでもないものが多い。

以下、サマリー。

第1章 介護バブル、群がるファンド
介護が投資対象として儲かるということで、ファンドが群がっている。社会がこれからますます高齢化するので、ますます儲かるだろうと見られている。
入居してから5年を過ぎると、最初に納めた一時金が取り崩されるので、要介護度が上がることなどを理由にして6年目以降の老人を追い出す施設もある。
「ワタミの介護」では、不適切な実態を隠すために報告書が改竄されている。しかも、人員不足である。
介護施設の職員の給料は低い。
第2章 「なぜ突然値上げするのか」
有料老人ホーム「ライフハウス友だち村」(静岡県伊豆市)では、管理費を突然値上げした。
有料老人ホーム「ネクストステージあざみ野」(神奈川県)では、運営会社が「ワタミの介護」に変わった途端、サービスが低下した。
第3章 「介護施設を選挙事務所に」
徳島県の参議院議員だった故中村博彦氏は、自ら多くの介護施設を運営するとともに、「全国老人福祉施設協議会(老人施協)」会長だった。介護職員に選挙運動をさせるとともに、介護業界から多額の献金を受けていた。老施協を私物化していたという声もある。
第4章 「医師や介護スタッフ来ない」
補助金目当てでサービス付き高齢者向け住宅が多く作られている。しかし、これは最低限のサービスしか義務付けられていないものなので、利用者がそんなにいるのかどうか疑問である。