プラグマティズムを中心にしてアメリカ思想をまとめるという本だが、いまひとつまとまりを感じなかった。
著者は、プラグマティズムを「知識のあくなき実践」とまとめているわけだが、そもそも私にはそこがしっくり来ないままというところがピンと来なかった理由の大きなものである。プラグマティズムの核心は、パースのプラグマティック・マクシム、すなわち、あるものの概念とはそのものが及ぼす効果の総体そのものである、ということだと私は思っていたので、それがどこかに行ってしまっていると、ついそんなものかねえと思ってしまう。実際問題としては、プラグマティズムは必ずしもパースのマクシムを中心に展開してきたわけではないので、もちろん著者のまとめの方が正しいのだろうが、それでもどうもしっくり来なかったというのが正直なところである。