洪自誠 菜根譚

著者湯浅邦弘
シリーズNHK 100 分de名著 2014 年 11 月
発行所NHK 出版
電子書籍
刊行2014/11/01(発売:2014/10/25)
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読了2015/10/30

処世訓『菜根譚』の紹介である。昨年 11 月の再放送が 10 月にあり、これを機会に読書ノートにした。

清貧と中庸を良しとするいかにも日本人好みの処世訓であるから、好きな人が多かったそうだ。『孫子』のような中国的計算高さがなくて穏やかなので、日本人に合った処世訓といえよう。日本人として言えば、漢文だし対句も心地よく、表現が簡潔で格好良いという意味もある。

ところで、この番組ではすでにいくつか中国思想が紹介されているけれども、『論語』にせよ『老子』にせよ、短い文章の集合体になっている。 『菜根譚』は処世訓だからなおさらそうである。こういうのを西洋哲学と比べてみると、西洋哲学の名著はだいたい長くて論理的に深い。 日本では『菜根譚』が好きな人が多かったそうだが、こういう短いのばかり読んでいると、西洋思想の議論の息の長さと深さに負けてしまうように思う。日本の思想的貧困はこういうところから来ているのではないだろうか。

「100分de名著」放送時のメモ

第1回 逆境を乗り切る知恵

『菜根譚』は明代末期に書かれた処世訓。中国の処世訓の最高傑作だと言われる。全357条。作者は洪自誠。評価が高まったのは初版から300年後。江戸後期の日本に伝わって愛読された。タイトルは、「人、常に菜根を咬み得ば、則ち百事做(な)すべし」という汪信民のことばに基づく。

明代末期は政治的には混乱した時代であった。明代には冊子体の印刷が普及したことも文化史的には重要である。

逆境に耐える知恵。

第2回 真の幸福とは?

幸せについて。

第3回 人づきあいの極意

人付き合いの極意は「和気」。

第4回 人間の器の磨き方

人間が成長することを器に喩える。