クラウドガール

著者金原ひとみ
連載朝日新聞 2016/09/01-12/30
読了2016/12/30

最近は新聞連載小説を読むようになったので、惰性で読んでいた。理有(りう)と杏(あん)というどこか変な若い姉妹の物語である。 理有は冷静だけど心に殻があるような感じで、光也と付き合っているが、醒めた感じである。 これに対して、杏は奔放でよく浮気をする晴臣とつきあっている。晴臣が浮気をするたびに大騒動になるけれどもいつの間にか元の鞘に収まる。 父親は離婚した後死んでおり、母親の作家中城エリカも自殺している。母親との関係がまたちょっと変な感じで、親子の情愛が薄い。 なので、あらゆる関係がギクシャクしてねじれており、どこに共感を見出すかが難しかった。

最後は、それぞれの人間はそれぞれの世界で生きており共通点を見出せない、というような結論で終わっており、一応、理有は光也とは共通点を見出せるかもという希望を持っているが、それとて虚構かもしれないのだ。

そういったわけで、分かり合えなさの不全感が描かれているのだが、最後まで転換も解決もなくごちゃごちゃしたまま浮遊している。 これが平成女子のやりかたか。 著者は若いころ不登校で家出していたそうで、その経験が膿のように出てきたという感覚がする。 著者は幼少期から生きづらさを感じていたそうで、人と人が分かり合えるのかどうかというのが大きなテーマであるようだ。 これは、分かり合えなさの不全感が溢れた小説だ。私も読者としてあんまり分からなかったが。