勉強の哲学 来たるべきバカのために

著者千葉 雅也
発行所文藝春秋
刊行2017/04/10、刷:2017/05/25(第5刷)
入手福岡市北原の未来屋書店福岡伊都店で購入
読了2017/06/17
参考 web pages著者 twitter

某授業で「私にとっての学び」みたいなことを語らないといけなくなり、参考にと思ってちょうど新聞広告で目に付いた本書を読んでみた。 「勉強の哲学」というよりは「哲学入門」みたいな本だと思った。哲学を自分の言葉として語れる人がまた一人いたということを喜ばしく思った。 フランス哲学系の人は変にひねくれた言い方をする人が多いので、いつも読みづらいなと思っていたのだが、 これは一般に向けた本ということもあってかフランス哲学風の語りをしつつもその言い回しに対するわかりやすい説明がなされているのが良い。

ツッコミとボケという言葉を使うところはなかなか良いと思ったのだが、途中でアイロニーとユーモアと言い換えてしまったのが、 私としては残念である。日本語のままにしておけばよいのにと思うし、それ以前にアイロニーよりもツッコミ、ユーモアよりもボケの方が 表現していることがらに近いと思う。ことがらの根源を問い詰めるのはツッコミではあってもアイロニーではないと思うし、 話題をずらしたり言葉の使い方をずらすのはボケではあってもユーモアではないと思う。わざわざ違和感のある言い回しをするところが フランス哲学風か?

哲学風の言い回しも面白いのだが、私なりにもっと普通の言い回しで、最後のまとめをまとめなおすと以下の通り。

だいたいこんなところで、言い換えると当たり前といえば当たり前ではある。でも、ここは著者の独特の(というか、ちょっとフランス哲学風の) 言い回しを楽しむことが大切で、それには実際に本書を読むしかない。このようなフランス哲学風言い回しを操れるようになるのも面白いかなとも思うが、 理系人間としてはできるだけ平易にパラフレーズすることも必要なわけで、なかなかそうもいかないところである。

というわけで、最初の目論見の「私にとっての学び」のような授業には、私には使えないことが分かった。こういう言い回しは私にはできないし、私なりに言い換えるとわりと当たり前な感じになってしまうので、あんまり具合が良くない。