漱石生誕150年(今年)と歿後100年(去年)を記念して連載されていた。生誕150年と歿後100年が1年しか違わないのは、もちろん漱石が49歳で死んだからである。私はもうその年齢を超えてしまった。漱石は若くして大文豪になったものである。朝日新聞の漱石再連載シリーズもこれでおしまいのようである。
『吾輩は猫である』は昔読んだことがあるのだが、改めて新聞連載で読み直すと、新聞連載向きであることがわかる。たいした筋は無いので、4コママンガみたいにその都度繰り広げられる会話や出来事を楽しめばよい。全体を通して読もうなどと思うと冗長である。登場人物の博識だとか長広舌だとか警句だとかをその都度楽しむのが良さそうだ。こういう最初から注釈が要りそうな教養人のための小説を書く人がその後いないのは寂しい。