講師は、リチウムイオン電池の発明者ということで、巷ではノーベル化学賞候補といわれている。 そこで興味が湧いて、番組を聴いてみることにした。主な内容は、講師自身によるリチウムイオン電池の開発の歴史である。 放送では、講師は必ずしもテキストに沿わずに、むしろテキストよりも詳しく話していた。
内容的に特筆すべきことは、リチウムイオン電池の話もさることながら、最後の3回で、近未来社会の姿として 自動運転電気自動車が作る社会の話をしていたことだ。すぐれた技術者というのは、こういう近未来社会の姿を常に想像しているものなのだろう。 実際にその通りになるかどうかはわからないが、自動運転自動車は、運転が下手な私にとっては朗報である。 あと 10~20年すれば、私も高齢者になるので運転がますます危うくなるだろう。ちょうどそんなタイミングで 自動運転自動車が普及すれば都合の良い話である。
リチウムイオン電池の話に戻って、リチウムイオン電池の発明に関わったとして、チャールズ・スターク・ドレイパー賞を受賞したのは、 ジョン・グッドイナフ、西美緒、ラシド・ヤザミ、吉野彰(本番組講師)の4人である。 本番組では、吉野氏の開発研究の話が語られており、グッドイナフの名前は出てくるが、 西とヤザミが何をしたのか良く分からないのが少し気になった。西はソニーで開発に携わったようで、 第9回の話では、吉野氏から見ると、ソニーがリチウムイオン電池を事業化したというのは寝耳に水のニュースだったようだ。
以下関連情報が書いてあるサイトである。以下の西の記事によると、ソニーでは全く独立に開発されていたようである。 以下のいろいろ情報によると、それ以外にもいろいろな人物が関わっているようである。 ただし、実用的な電池を作ったという意味では、吉野の旭化成グループと西のソニーグループの功績が大きいことは確かなようである。
- Wikipedia リチウムイオン二次電池
- 西美緒「生みの親が振り返る―Liイオン電池の誕生から課題まで in 日経テクノロジー online
- 山邊時雄「リチウムイオン二次電池研究開発の源流を語る―負極材料の開発史を中心に」 in 化学 ;これを読むととくにカーボン負極の発明にはいろいろな人が関わっいることがわかる。
- 米国学術研究の動向 in JSPS Washington Office ;チャールズ・スターク・ドレイパー賞のニュース