今年の大河ドラマが西郷隆盛が主人公ということで、NHK はそれにちなんだ番組をいろいろやっており、これもその一環。 幕末の人なので、戦国時代などよりもずっと資料が多いから、多彩な番組が作れるということだろう。 去年の井伊直虎みたいな人だとあんまり何も残っていないから、「100分de名著」のような番組では取り上げられない。
西郷は 49 歳で亡くなっていながら南洲「翁」と呼ばれるわけで、50 歳を過ぎた私としては、大人物は違うのだなと思うだけである。しかし、そう言ってしまうのは南洲翁の教えには反している。自分もそうなるように努めなければならないというのが南洲翁の教えのはずだ。
4回を通じてわかることは、強烈な使命感と「天」に対する信頼が西郷を動かしていたのだということだ。それは陽明学によるものだった。古典の力は強いものである。 しかし、もしそういう人に会えたら聞いて見たいことがある。「天」という判断基準があっても、世の中にはなかなかどちらが正しいのかよくわからないことがある。そのときにどう行動するかということである。 もしかすると、西南戦争がそういうときだったのかもしれない。たぶん、西郷はここで戦争を起こすのは正しくないと思ったのだろう。しかし、自分の許に集まってきた若者を見殺しにするのも正しくない。そこで、自害をもって解決する道を選んだのに違いない。 行動の人が誠意を通そうとすると、自害が待っているものかもしれない。第4回で西郷を評価した人として紹介されている三島由紀夫も、最期には自害を選んだ。
『南洲翁遺訓』は短いので、原文がネット上にいくつか転がっている。例が、上記参考 web pages である。