フェイクニュースの見分け方

著者烏賀陽(うがや) 弘道
シリーズ新潮新書 721
発行所新潮社
刊行2017/06/20
入手福岡天神のジュンク堂書店福岡店で購入
読了2018/01/01
参考 web pages著者 twitter

お正月読書で1日で読了。この著者の存在を初めて知ったのは、上杉隆のネットニュースだったと思う。YouTubeを探すといくつか見つけられる。そういったものを見て、書いたものを読んでみようと思い購入した。

本書に書かれていることは、偽情報を見分けるということで、二言くらいで言えば、根拠がはっきりしていることだけを信用するということと、つじつまの合うことだけを信用するということである。近年、ネットのようなダメ情報が山ほどあるのと、凋落を始めた従来型のマスメディアの質が落ちたということが背景で、情報の信憑性を自分自身で考えないといけなくなってしまった。困ったものである。本書で挙げられているダメな例も、大新聞だったり、それなりに高名な評論家だったりするのです、要するにもはや名前だけでは選べなくなったということである。

自分自身で信憑性を考えるのは、実は難しい。著者が言っていることはよく分かるのだが、実際に実行しようとするとそれなりに手間がかかる。もちろん著者が言うように、昔と比べるとネットを使うと楽になっているものの、本当のところは取材しないとわからないところも多い。で、普通にできそうなことは、怪しげなところが少しでもあったらとりあえず信用しないということである。しかし、そんな厳しいスクリーニングをすると、情報がほとんど残らなくなるのが、今の時代困ったことである。

著者が記者を始めた30年前はマスコミはまだまともだったようだが、それからどんどん劣化してきたとのことである。劣化は本当だと思うが、30年前もすでにダメだったのではないかという疑問もある。たとえば、pp.49〜50 に当時の記者の共通理解は「政治部は政治家の味方をするのが仕事。苦情を伝えてくるのが当たり前」で社会部はそれを無視していた、というような記述がある。社会部が政治部を無視するのは良いとして、政治部がそうやって政治家の味方をするのがのが当たり前かどうかは疑問である。そのほか、近年朝日新聞が取り消した慰安婦報道も1980年代くらいに始まったことである。