名探偵コナン 衝撃の犯人の動機エピソード特集

著者青山 剛昌
シリーズ少年サンデーコミックス
発行所小学館
電子書籍
掲載時期2019/10/28--11/11(公式アプリ)
入手名探偵コナン公式アプリ
読了2019/11/11

スマホアプリ「名探偵コナン」で毎日一話ずつ「衝撃の犯人の動機エピソード」特集を出していた。 そんな動機で殺人?のようなエピソードを集めたものである。以下、それらのメモ。

犯行の動機を考えるのはけっこう難しいとかつて作者が語っていた。 人を殺すもっともらしい動機などそうそうあるものではない。でもいつも同じだと芸がないから、作者は毎回違う動機を考えるのに 苦労しているようである。ということで、犯行の動機は作者の苦吟の跡と思って読むのも面白い。

事件のサマリー

事件名Files登場人物事件の概要犯行の動機
18初恋の人思い出事件3 初恋の人、4 燃える真実、5 心は開く…!?
  • 内田麻美:東都大学文学部1年
  • 沢井学:東都大学文学部4年、推理研究会部長
  • 早坂智子:東都大学文学部4年、推理研究会副部長
  • 野口茂久:東都大学文学部2年
  • 宮崎千夏:東都大学文学部2年
  • 森本喜宣:東都大学文学部3年
  • 高村雅夫:東都大学文学部教授

蘭、園子、コナンが工藤新一の家を掃除していると、帝丹中高の先輩の内田麻美がやってくる。新一を自分の誕生会に招待したかったとのこと。 新一の代わりに、小五郎、蘭、園子、コナンが行くことになる。

誕生会には、東都大学の推理研究会の面々が集まっていた。会は、麻美の小説が「新人賞」を取ったことの祝賀会でもあった。 会は、借りた別荘で行われていた。

0 時を過ぎて、眠ってしまった麻美以外は、カラオケに繰り出す。別荘に戻ろうとすると、別荘が火事になっていた。 蘭とコナンと沢井が燃えている家の中に入って麻美を救出する。

コナンは犯人探しを始めるが、麻美以外は皆カラオケに行っていたというアリバイがある。別荘まではそれほど近くはない。 コナンはファックスに注目。犯人は沢井であり、ファックス機の下にろうそくの付いたケーキを置いておいて、 カラオケの近くのコンビニからファックスを送って、ファックスの紙に火をつけたことを見破る。

事件後、麻美の初恋の人が工藤新一だったことが明かされる。新一に告白したけど、蘭がいるからということで断られたとのこと。

沢井は、ちょっとしたボヤを起こし、内田麻美を自分が救出することで、麻美に振り向いて欲しかったのだった。 思ったより火災が大きくなってしまって、うまくいかなかった。

そんな動機で危うく人殺しになりそうなことをしてしまうとは、ということだろう。

28,29封印された目暮の秘密11 閉ざされた秘密、1 小さな違和感、2 意外な理由
  • 藍沢多恵:駐車場で殺害されたガン黒女性
  • 白川紀之:コック、多恵の彼氏、白川春義の息子
  • 紺野由理:ウェートレス、白川の同僚で大学の同級生
  • 定金芳雄:百貨店駐車場の警備員
  • 白川春義:杯戸百貨店のオーナー

ガン黒女性が金属バットで殴打される事件が続いて3件起こっていた。共通点は、ガン黒なことと、 ミレニアムセールに行っていたらしいことだった。

蘭が杯戸百貨店の地下駐車場で、殴打され殺されているガン黒女を発見。目暮警部、高木刑事、佐藤刑事、小五郎、園子、コナンが 駆けつける。女(藍沢多恵)の恋人の白川紀之もやってくる。

閉店間際、園子がデパートのトイレに行くと、出てきたときフロアの照明が消されていた。

コナンは、被害者が皆厚底ブーツを履いて車を運転していた女性だったと気付く。 刑事たちは、藍沢が過去に交通事故を起こしており、その事故の一因が厚底ブーツだったことと、亡くなった少年の父親の名前が 定金だったことを思い出す。そこで、警備員の定金が犯人だとわかる。ところが、定金がいない。

園子は厚底ブーツを履いていた。暗いデパートの中で、園子が定金に金属バットで殴られそうになる。 園子が逃げるが、やがて追い詰められて殴られそうになったところで、間一髪目暮警部に助けられる。

連続殴打事件の動機は、交通事故で息子を亡くした定金が、その犯人を懲らしめようとしたこと。 しかし、交通事故の犯人は未成年のため、住所がわからなかったので、事故の一因となったような厚底ブーツを履いている運転者を 次々に殴打していた。

しかし、園子の場合は、高校生で運転もしないので、見当違いだった。おまけに、定金は顔を見られたと思って、 園子を殺そうとする。

59弁護士妃英理の証言2 音、3 空飛ぶ死体、4 力学とアリバイ
  • 葉坂皆代:美容師、犯人、永作の元彼女
  • 永作司朗:格闘家、被害者

永作が葉坂の美容室の風呂場で髪を切ってもらっている。途中で妃英理が美容室に入ってきて、妃は表の美容室で 葉坂にカラー、カット、パーマをやってもらう。カラーの途中で、葉坂は、ゴミ出しがてらコンビニに行ってくると言って、奥に入る。

小五郎、蘭、コナンは、妃を迎えに美容室に向かう。その後一緒に食事をする予定だ。車が美容室に近づくと、 大きな音がする。外へ出てみると、ゴミ捨て場に永作の遺体があった。

目暮警部、高木刑事がやってくる。永作は首を切り裂かれて死んでいた。コナンは、死体の状態から、髪を切られている最中に 美容師か理容師に殺されたと推理する。次に、コナンは、葉坂の態度から、葉坂が犯人だろうとほぼ確信するが、永作の巨体を どうやってゴミ捨て場に投げ捨てたかが分からない。

コナンは、スクーターとキャスター付きの椅子と釣り糸を使って、死体をゴミ捨て場に投げ捨てる方法を見破った。 そこで、葉坂は自白した。

本作品は、読者には最初から犯人が提示されているが、動機やトリックは提示されていないという半倒叙物である。

永作と葉坂はかつて付き合っていた。今や永作はタレントと結婚間近となっている。葉坂が永作を殺した理由はひねくれている。 葉坂は、永作の婚約者を憎らしく思っていた。永作が婚約者の好みで金髪のミディアムの髪型になっているのが気に入らない。 一方で、葉坂は永作の髪を一生切る約束をしていて、その約束を破るのもいやだったし、他の人に永作の髪を切らせるのもいやだった。 そこで、殺すしかないと考えた。

63回転寿司ミステリー3 回る凶器、4 狙い撃ち、5 毒物のありか
  • 我妻留造:回転寿司店の客、フードライター
  • 相園修:回転寿司店の客
  • 並木段児:回転寿司店の店長
  • 竹村咲子:回転寿司店の客

阿笠博士と少年探偵団は、回転寿司を食べに行く。帰ろうとしたとき、突然、客の我妻が苦しみだして死ぬ。 青酸系毒物による毒殺だった。そのとき周囲にいた相園、並木、竹村の誰かが犯人だろうと疑われた。 我妻には相園、並木、竹村の3人とも恨みを持っていたので、3人とも動機はあった。 しかし、毒物は皿以外からは見つからず、毒物をどうやってその皿に付けたかわからなかった。

コナンは、お手拭に毒が仕込んであったに違いないと気付いた。とすれば、我妻が左利きであったことを考えると、 犯人は我妻の左側に座っていた相園ということになる。そのお手拭は、皿に載せてそれをベルトコンベアに乗せたのだろうと推理。 最初にとった皿に乗せれば、自動的に期限切れと判断されて廃棄されるはず。それを指摘されて、相園は犯行を自供した。

動機は、以前、妻の前で恥をかかされたこと。我妻がヒラメの皿にスズキを載せたので、相園は、スズキをヒラメと間違えて妻に薀蓄を語ってしまった。 その間違いを我妻に指摘されて恥をかいた。さらに、我妻は、相園の食べ歩きブログに嫌味を書き込んだ。 それで、相園は、食べる楽しみが失せ、妻とも離婚してしまっていた。

そのくらいのことで殺人!?というのが、この特集に入っている理由。

87ブログ女優の密室事件3 BLOG、4 PHOTO、5 SELFIE
  • 北見沙弥:タレント
  • 庄野杏奈(きょうな):タレント
  • 桜子:家政婦、今は臨時で庄野のマネージャーをしている

阿笠博士と少年探偵団は、ホテルのケーキバイキングに来ている。すると、タレントの庄野杏奈と北見沙弥が火花を散らしている場面に出くわす。 2人はブログの人気ランキングで競っていて、庄野は北見に散々嫌味を言っている。庄野は北見の秘密を知っていることを匂わす。 コナンと知り合いの桜子が、臨時で庄野のマネージャーをやっているということで、庄野について回っている。

庄野はホテルの部屋に戻ると、撮影の前に起こしに来るように桜子に言って扉を閉める。 ところが、時間になって起こしに行っても返事がない。桜子が、コナン、北見とともにマスターキーで部屋に入ってみると、庄野の遺体があった。 遺体の近くの白いしみから生クリームのにおいがすることにコナンは気付く。

犯人は、北見だった。北見は、桜子の動画を携帯で撮影しておいて、それを玄関の覗き穴から見せることで、庄野に部屋のドアを開けさせた。 おもちゃのヘリコプターを利用して、部屋の外からカードキーを庄野の遺体の傍に持ってゆく仕掛けをつくった。 生クリームのしみは、ケーキバイキングのときにおもちゃのヘリコプターが元太のケーキに突っ込んだときについたものだった。 凶器は庄野の自撮り棒で、北見の部屋から見つかった。

庄野が北見の秘密を知っていた。それは、北見が年齢を5歳分サバを読んでいることだった。

ところが、北見は勘違いをして、北見が2年前に轢き逃げをしたことを庄野が知ったのだと思った。 それが殺害の動機だった。

勘違いによる殺人である。