原発事故と科学的方法

著者牧野 淳一郎
シリーズ岩波科学ライブラリー 216
発行所岩波書店
刊行2013/10/04、刷:2014/07/25(第3刷)
入手九大生協で購入
読了2019/07/21
参考 web pages著者の日記

福島原発事故のときに最も信頼できる情報を発信していた著者によるひとつのまとめである。 福島原発事故で私が学んだ一つの教訓は、政府も専門家もマスコミも大企業も原発のことととなると (したがって、他の重大な問題に関してもおそらく)全く信用できないということであった。 一方で、著者のような原子力専門家ではないがきわめて優秀な科学者は、少ない情報からおおむね正しい結論を導いた。 私はといえば、事故が起こってから初めてシーベルトという単位を知ったようなていたらくだったので、 いろいろ飛び交う怪しげな情報に振り回されていた。

本書では、著者がどういう筋道で考察したのかがきちんと書いてあるし、原発の問題点も端的に指摘してあるので、 とても勉強になる。原発の問題点を端的に指摘してある部分をいくつか引用しておく:

ところで、安富歩氏によれば

なぜエリートは、原子力発電所のような、最初から安全に運営することなど不可能なシステムを安全に運営できると信じられるのか。 彼らは偉い人に叱られるのが怖いので、そう信じられるんです。
なのだそうな。