漫画でお手軽に古典を読むシリーズで、「古事記」を読んでみた。さっさと1、2時間で読めてしまうのが良いが、逆に言えば頭に残りづらい。
全体的には、日本神話と日本の天皇につながる神々は素晴らしいという礼賛調。以下に例を二つ:
- 天地開闢の部分では、神様が宇宙の後に生まれているのが日本独特だとして、 「つまり我々の遠い祖先たちは唯一絶対の神が世界を意のままに創ったのではなくそれ以前の「無」の時間…現代科学をもってしても 解明できないとされる「ビッグ・バン」以前のコンマ何秒という世界を想定していたのです。」「驚くほど科学的な考え方だと思いませんか?」 と説明し、すばらしく先見の明があったような書き方をしている。これは、いくら何でも牽強付会というものであろう。
- 出雲の国譲りをどうとらえるかもポイント。ここでは、「タケミカズチとタケミナカタの力の差は歴然」「コトシロヌシは己の宗教の生き残る道を見つけて早期和平に持っていっているのに コイツ(タケミナカタ)は戦を起こしたわけだ…」と、タケミナカタに冷たい。出雲政権とヤマト政権の間の抗争を読み取る方が今は普通だと思うのだが。