半分は美しいクラゲの写真集。古本屋店頭で見かけてきれいだなということで買った。 半分は、加茂水族館元館長(出版当時は館長)の村上龍男とノーベル化学賞の下村脩の対談。 きれいな写真を見ながら、クラゲ談義を楽しむという趣向で、文が少ないからすぐに読み終わった。 それにしてもクラゲはきれいなものである。水族館映えする。
クラゲは、分類上は、昔は腔腸動物門とされてきたが、今やそれは二つに分けられて、 有櫛(ゆうしつ)動物門と刺胞動物門になった。したがって、分類上は 有櫛(ゆうしつ)動物門、ならびに刺胞動物門のうちポリプ型のもの(サンゴ、イソギンチャクなど)以外ということになるのだそうだ。
いまやクラゲの水族館として有名な加茂水族館だが、 もともと小さな水族館で閉館の危機にあったところを、クラゲに賭けて成功したとのこと。 その経緯は、たとえば、 クラゲ展示数で世界一 V字回復した加茂水族館の経営哲学(事業構想 PROJECT DESIGN ONLINE)に載っている。 それに関連して印象的だった下村氏のことば:
ただでもやる人の少ない分野の中でも、とくにやる人のいないものばっかり手がけてきたから、 僕はこれまで研究面では競争というのをしたことがないんです。村上さんだってそうじゃないですか、 クラゲがメインの水族館なんて、普通は考えないでしょ。[オワンクラゲの項より]
ところで、この本を読んだ翌日 (2019/06/17) たまたま NHK で、村上氏を主人公とする 「逆転人生『世界に誇るクラゲ水族館 閉館危機からの奇跡』」なる番組をやっていた(下にそのときのメモを付ける)。 それによると、弱小水族館の入館者が減る中、最初はアシカやらラッコやらで客を呼ぼうとしていたけど、 弱小水族館が他館と同じようなことをしても成功するはずもなく、客の減少に歯止めがかからなかったそうである。 その中で、クラゲという独自路線を見出し、徐々に人気を上げていったとのことである。 人まねばかりしていてもダメということであった。
クラゲ飼育の実働部隊は、現館長の奥泉和也氏だったとのこと。以下、関連 web pages:
- 奥泉和也 facebook
- 奥泉和也 CiNii 論文リスト
- 【動画】水にっぽん 幻想的くらげの水族館「鶴岡市立加茂水族館」 in 産経フォト