日本の宗教史だが、民衆に仏教が浸透した江戸時代以降を主に扱っているのが特色である。 民衆の信仰を扱うということは、難しい教理や哲学や思想の話にはならない。これを読むとよくわかることは、 民衆の信仰は、いつの時代も、現世利益(厄除けとか商売繁盛とか)や先祖崇拝や呪術的なもの(加持祈祷など)を中心としている。 それが近世から現代へと移り変わるにつれて、村落共同体から都市生活へという生活スタイルの変遷に応じて 姿を変えるということになる。新興宗教の動きもそのような時代の流れの中で取り上げているのが著者らしいところである。