仏教抹殺 なぜ明治維新は寺院を破壊したのか

著者鵜飼 秀徳
シリーズ文春新書 1198
発行所文藝春秋
刊行2018/12/20(第1刷)
入手福岡天神の紀伊国屋書店天神イムズ店で購入
読了2019/04/04

明治政府の神仏分離がどのようにして廃仏毀釈につながったかを、著者が日本各地を取材して調べた成果である。 廃仏毀釈のような暴挙がどのような背景の下で起こったのかがよくわかる。廃仏毀釈は政府が命令したことではないので、 地域差があり、地域によって発生のしかたが異なった。著者は重要ないくつかの地域を回って、その違いを明らかにしている。

廃仏毀釈と上知令(寺院の土地を取り上げること)によって仏教は大打撃を受けた。 著者は浄土宗の僧侶でありながら冷静に事態を分析していて、廃仏毀釈の背景に僧侶の堕落があったことを指摘するとともに、 「一部では堕落もしていた仏教界が、はからずも綱紀粛正を迫られ、規模が適正化するとともに、社会における仏教の 役割が明確化されたという「プラスの側面」」(結びにかえて, p.244) もあったと述べている。 それにしても廃仏毀釈は暴挙は暴挙であって、文化財や文化そのものが多く喪失してしまうこととなった。 維新などといったような過激な変革は、常にいろいろな問題を生むものであると痛感する。

内容のサマリー

本書の読みどころは、調査の結果わかった具体的な事例なのだが、そこは以下のサマリーにはあまり入れなかった。

第 1 章 廃仏毀釈の始まり―比叡山、水戸

第 2 章 維新リーダー藩の明暗―薩摩、長州

第 3 章 忖度による廃仏―宮崎

第 4 章 新政府への必死のアピール―松本、苗木

第 5 章 閉鎖された島での狂乱―隠岐、佐渡

第 6 章 伊勢神宮と仏教の関係―伊勢

第 7 章 新首都の神仏分離―東京

第 8 章 破壊された古都―奈良、京都