スペクトル理論を勉強したいと思ったが、いきなり本格的な本だと難しすぎるので、入門的な本をざっと読んでみた。 目次は、
- 第1章 固有値問題事始め:スツルム・リュービル型作用素
- 第2章 シュレーディンガー作用素の固有値問題
- 第3章 ヒルベルト空間、自己共役作用素
私が役に立ったのは、ルベーグ積分の必要性を紹介してある部分で、まえがきにもある通り、そこは本書のポイントの一つのようだ。 私はルベーグ積分を習ったことがないので、役に立った。
一方、やや不満だったのは2章の量子力学で習うような固有値問題の説明と3章の内容がどう対応しているのか、 細かい点でよくわからないところがいくつかあったことである。たとえば、スペクトル理論の連続スペクトルの定義と 量子力学の連続スペクトルの定義は見かけの上でだいぶん違うのだが、それらの関係は何かとか、 似たような概念で「本質スペクトル」というものもあるが、それとの違いは何かとかいった点である。 数学の教科書ではよくあることだが、定義が書いてあるけれど、どうしてそう定義したのかが書いていないので釈然としない という問題が本書にもあるということである。