数理物理における固有値問題 基礎からスペクトル理論へ

著者楳田 登美男
シリーズSGC ライブラリ 116
発行所サイエンス社
刊行2015/04/25
入手九大図書館で借りた
読了2019/08/27

スペクトル理論を勉強したいと思ったが、いきなり本格的な本だと難しすぎるので、入門的な本をざっと読んでみた。 目次は、

となっている。2章までは物理系の学部生なら必ず習うような内容で、私も学生のとき勉強したようなことが書いてあった。 3章がスペクトル理論への入り口という内容である。全体的には、証明や式変形はかなり丁寧で、 私は全部フォローしたわけではないが、ざっと読むのには適していたし、だいたいのところは理解できた。

私が役に立ったのは、ルベーグ積分の必要性を紹介してある部分で、まえがきにもある通り、そこは本書のポイントの一つのようだ。 私はルベーグ積分を習ったことがないので、役に立った。

一方、やや不満だったのは2章の量子力学で習うような固有値問題の説明と3章の内容がどう対応しているのか、 細かい点でよくわからないところがいくつかあったことである。たとえば、スペクトル理論の連続スペクトルの定義と 量子力学の連続スペクトルの定義は見かけの上でだいぶん違うのだが、それらの関係は何かとか、 似たような概念で「本質スペクトル」というものもあるが、それとの違いは何かとかいった点である。 数学の教科書ではよくあることだが、定義が書いてあるけれど、どうしてそう定義したのかが書いていないので釈然としない という問題が本書にもあるということである。