ブルデュー ディスタンクシオン

著者岸 政彦
シリーズNHK 100分de名著 2020 年 12 月
発行所NHK 出版
電子書籍
刊行2020/12/01(発売:2020/11/25)
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読了2020/12/31

ブルデューが有名な社会学者らしいということは知っていたが、何をした人かは知らなかった。 一言で言えば、社会的な環境がいかにわれわれの性向を縛っているかを暴いてくれているようだ。

番組では、講師と聞き手(伊集院光)の話がよく噛み合っていて、楽しく見ることができた。 趣味でもなんでも、われわれはいつも何か闘争をしているんだなということを反省させてくれし、 自分が無意識のうちにある型にはまっているのだということも意識させてくれる。

原著が引用されているところからその片鱗がわかる通り、もともとは難解な書き方がなされているらしい。 もっとも、この解説で紹介されているところによると、「フランスのインテリのあいだには、どちらがより難しいことを言ったかを 競うような側面が」あるそうだ(番組では、お約束のネタなんだろうと言っていた)。 実際フランス哲学は書き方が難しいし、フランス哲学を研究している日本人もそれに影響されてひねくれた言い回しをよくする。 とはいえ、本書の解説の岸氏自身はフランス哲学研究者ではないので、わかりやすく書いてあってありがたい。

題名がカタカナで『ディスタンクシオン』としてあって、和訳していないのが不思議である。 『社会階層の差異』とかなんとかもうちょっと分かるように翻訳すれば良いのにと思う。 むろん、これは本書のせいではなく、最初に翻訳した人のせいである。 最初に翻訳した人はフランス文学者だから、「ディスタンクシオン」も翻訳するよりカタカナの方が 難解に見えるということでそうしたのであろう。しかし、 カタカナで書かれると何の本だかわからないので、販売戦略上もまずいと思うのだが。

「100分de名著」放送時のメモと放送テキストのサマリー

第1回 私という社会

『ディスタンクシオン』基本情報

趣味と経済環境や階級・学歴との間に相関が出てくる。 趣味というのは各自自由に決めているようでいて、ある趣味に出会うかどうかは社会構造が決めている。 このことから自由について考察を深めることができる。

著者ピエール・ブルデュー

ブルデューは民衆を理想化しない。
ブルデューは、個別の地道な調査をすると同時に、全体を俯瞰するマクロな視点も持っていた。

趣味と社会階層

ハビトゥス habitus

第2回 趣味という闘争

界(場) champ(field)

趣味、趣向の位置づけ

界における立ち位置と実践感覚

第3回 文化資本と階層

文化資本 capital culturel

文化的再生産論

第4回 人生の社会学

社会的分割

ブルデュー『世界の悲惨』

他者の理解