スポーツ誌 Number 初の将棋特集で、しかも売れたということで話題になった。藤井聡太人気のすごさがわかる。 Number という雑誌はもともとスポーツを写真と文で伝えるという雑誌だから、将棋との相性もそう悪いわけではない。 将棋には身体的な躍動感は無いけど、対局姿は絵になるし、勝負のドラマを文章にするという意味では、 スポーツも将棋も似ている。
本特集に関していえば、藤井聡太についてはすでに様々なところで語り尽くされている感があり、この特集で 特に「これは」というものがあるわけではなく、むしろ、その周辺の記事の方が興味深かった。 たとえば、羽生善治と森下卓との 1995 年の名人戦挑戦手合いに関する記事。第1局は、森下勝勢で、森下は羽生がなぜ投げないのか と苛立っていたら、森下の思考に空白が生じ、大逆転負けを喫した。それに対して、第3局も森下優勢だったが、今度は羽生はあっさり投げた。 羽生は、第1局においては、相手の集中力を欠如を見抜いていて、しつこく粘っていたのではないかと森下が回想している。 将棋にはこういう人間的な力も関係するということがわかって面白い。