感染症II 新型コロナと闘う

編集中西 真人
シリーズ別冊日経サイエンス 246
発行所日経サイエンス
販売日経BPマーケティング
刊行2021/08/16 (1版1刷)
入手九大生協で購入
読了2021/09/27

日経サイエンスから新型コロナウイルス関連の記事を集めてきた特集。日経サイエンスなので、そんなに詳しくはないけれど、 最近の動向がある程度わかる。

とくに今まで知らなかった話は、真菌感染症の話だった。そもそも致死的な真菌感染症があることを知らなかった。 COVID-19 の合併症となっている例があるそうだ。

サマリー

Part 1 パンデミックの歴史

AIDS の経験に学ぶ

William A. Haseltine, "What We Learned from AIDS", Scientific American, October 2020
梶浦真美(翻訳協力), pp.6-11
初出:日経サイエンス 2020 年 12 月号

AIDS から学ぶこと:

ワクチン開発の困難
HIV は絶えず進化するので、ワクチンができていない。
風邪のコロナウイルスは免疫が長続きせず、再感染する。SARS-CoV-2 も同様かもしれない。
治療薬
HIV の治療は、薬を組み合わせて使うカクテル療法で成功している。
HIV の場合、まず核酸系逆転写酵素阻害薬が開発された。次にプロテアーゼ阻害剤が登場した。 ところが、プロテアーゼ阻害剤のようなものは私たちの正常な細胞のはたらきも阻害してしまい副作用も大きいので、 薬を組み合わせて副作用を減らすことが行われるようになった。
人間の行動
HIV 感染はコンドームの使用等でかなり防げるはずだが、それに従う人は少数派だった。
SARS-CoV-2 でも多くの人々がリスクを正しく認識して、行動を変えることが望まれる。
研究資金
1980 年代、レーガン政権下で HIV 研究に対する資金供給は少なかった。しかし、ロック・ハドソンが AIDS になったことが 伝えられると、人々がキャンペーンを張って多額の研究費が支出された。
資金供給は重要である。

忘れられたパンデミック

Scott Hershberger, "The Pandemic We Forgot", Scientific American, November 2020
古川奈々子(翻訳協力), pp.12-16
初出:日経サイエンス 2021 年 7 月号

1818-19 年のインフルエンザパンデミック(いわゆるスペイン風邪)の記憶は長らく忘れられていた。 物語性のない歴史は記憶に残りにくい。病院にカメラが入りにくいので、写真が少ないことも一因だろう。 COVID-19 のパンデミックによって、100 年前のパンデミックが再発見されている。

DNA が明かす疫病史

James P. Close "Ancient Plagues Shaped the World", Scientific American, November 2020
古川奈々子(翻訳協力), pp.18-23
初出:日経サイエンス 2021 年 6 月号

古代人の歯から病原微生物の DNA の断片を取り出して、元の DNA を再構成できるようになった。 そのことによって、昔の疫病の正体がわかってきた。

  1. 約 5000 年前、青銅器時代初期のヤムナ文化の人々(ユーラシアのステップにいた)が ヨーロッパの新石器文化の農耕民に取って代わった。このときヨーロッパ全土で農耕民が集団で絶滅していた。 遺骨の歯にペスト菌の痕跡が残っていたことから、ペストのパンデミックが起こった可能性がある。 現代ヨーロッパ人は、ステップからやってきた人々の末裔である。このころのペスト菌は、飛沫感染していたと考えられる。
  2. 約 4000 年前、ペスト菌は ymt という遺伝子を獲得することによって、ノミを介して伝播するようになった。 ペスト菌は、その後の変異でねばねばした塊に凝集するようになり、ノミの消化管を塞ぐ。 空腹になったノミは手当たり次第に哺乳動物に噛みついて菌を広げるようになった。
  3. 西暦 541 年、東ローマ帝国のユスティニアヌス1世は、地中海をほぼ包囲する版図を手に入れた。 が、その年から帝国には疫病が流行した。これがペスト菌であり、その起源は中国西部であることがわかった。
  4. アステカ帝国は、スペインによって征服された後、「ココリットリ」という疫病の流行で人口の8割を失った。 2018 年、この疫病の原因がサルモネラ・パラチフスC菌であることがわかった。 これがヨーロッパから持ち込まれたことは確実である。

感染症との終わりなき戦い

Maryn Mckenna "Return of the Germs", Scientific American, September 2020
千葉啓恵(翻訳協力), pp.24-31
初出:日経サイエンス 2021 年 1 月号

1970 年代初頭、人類はやがて感染症を制圧すると信じられていた。ところが、1976 年のエボラ出血熱、1981 年の HIV/AIDS、 1988 年のバンコマイシン耐性のある腸内細菌エンテロコッカス、1997 年の鳥インフルエンザ、1999 年の COVID-19 と 新たな脅威が次々に生まれてきた。

COVID-19 をはじめとする感染症が広がる大きな要因が貧困である。感染症は、まず貧困層で広まり、それが富裕層に広がる。 COVID-19 でニューヨークが悲惨なことになったのも、大きな経済格差が大きな要因だ。

高額な先端医療が発達する一方で、抗生物質を手がける会社が少なくなって危機的な状況にある。

Part 2 コロナウイルスの病理

図説 感染・増殖・防御の仕組み

M. フィシェッティ(文), V.F. ヘイズ(アート), J. クリスチャンセン(グラフィックス), B. グローンシンガー(協力), "Inside the Coronavirus", Scientific American, July 2020
編集部(訳), pp.32-37
初出:日経サイエンス 2020 年 8 月号

新型コロナウイルスの仕組みの図解。動画付き英語版もある。

治療薬開発 3つの戦略

Michael Waldholz, "Fast-Track Drugs", Scientific American, June 2020
編集部(訳), pp.38-41
初出:日経サイエンス 2020 年 7 月号

COVID-19 治療薬には3つの方針がある。

ウイルスの増殖を止める
レムデシビル (GS-5734) は、エボラウイルス用に開発された薬で、コロナウイルスにも効果がある。 レムデシビルは、RNA の合成機構に塩基と間違って取り込まれることにより、ウイルスの複製を阻害する。ふつう、点滴で投与する。
EIDD-2801 もウイルスの複製を阻害する。錠剤を経口で服用できる。
ウイルスが細胞に入って感染するのを防ぐ
回復期血漿療法では、恢復した患者から採取した血漿を投与する。
武田薬品工業の TAK-888 は、恢復した患者の血漿から SARS-Cov-2 に対する複数の抗体を見つけて、合成して混合するもので、 2020 年中に試験を始める。
APEIRON Biologics では、ACE2 受容体に似せた囮でウイルスを動けなくしようという薬 APN01 を開発中である。
免疫の暴走であるサイトカインストームを抑制する
インターロイキン 6 の作用をブロックする臨床試験が進められている。

免疫系の異様な暴走

岩崎明子, Patrick Wong, "The Immune Havoc of COVID-19", Scientific American, January 2021
古川奈々子(翻訳協力), pp.42-49
初出:日経サイエンス 2021 年 3 月号

COVID-19 では、免疫系の暴走が起きることがある。サイトカインストームだと言われていたが、 ふつうのサイトカインストームとは異なる。

この論文は、わりととりとめなくいろいろなことが書かれているので、書かれていることをとりあえず箇条書きしてみる:

COVID-19 特有の難題としては、発症前から感染を引き起こすこと、症状が幅広い臓器にわたることなどがある。

岩崎明子 新型コロナの謎に迫る決断力と機動力の免疫学者

滝順一, pp.50-53
初出:日経サイエンス 2021 年 4 月号 Front Runner 挑む

岩崎明子は、日本の風土に閉塞感を感じて、日本の高校を中退してカナダの高校に進学、さらにトロント大学に進学した。 トロント大学では、免疫学の Brian Barber に師事した。1998 年、ポスドクとして NIH に移り、粘膜免疫の研究を始めた。 小腸のパイエル板では Th2 と呼ばれるタイプの T 細胞が活性化されることを見出した。2000 年には、エール大学で ポストを得て、研究分野をウイルス感染症に変えた。ヘルペスウイルスなどの研究をした。2020 年からは、 新型コロナウイルスの研究に移った。男性は女性にくらべて T 細胞の活性化の度合いが弱く重症化しやすいことを明らかにした。 ほかにも免疫系の撹乱についていろいろ調べている。

COVID-19 嗅覚障害の原因と予後

Stephani Sutherland, "How COVID Scrambles the Senses", Scientific American, February 2021
編集部(訳), pp.54-57
初出:日経サイエンス 2021 年 3 月号

COVID-19 患者の多くが嗅覚障害や味覚障害を起こす。

嗅覚障害の原因は、おそらく鼻にあり、鼻腔上皮の支持細胞や幹細胞がやられる。 ハムスターに SARS-CoV-2 を感染させた実験だと嗅上皮が完全に剥がれた。 COVID-19 の場合は、ほかのウイルス感染症と違って鼻づまりによる嗅覚障害ではない。

嗅覚が戻っても、異嗅症(違うにおいがする病気)になっている場合がある。 十分に時間が経つと回復するとは考えられている。

Part 3 ワクチン開発の現状

急拡大する変異株

出村政彬, pp.58-65
初出:日経サイエンス 2021 年 4 月号

新型コロナウイルスの変異株がいろいろ出ている。

変異の特徴:

変異株に対して、ワクチンは効くという報告と効かないという報告があり、まだ結論は出ていない。 モデルナは、β株用のワクチンの開発を始めた。従来の感染対策は、変異株に対しても有効である。

パンデミック終息へのシナリオ

L. デンワース, "What Comes Next", Scientific American, June 2020
編集部(訳), pp.66-68
初出:日経サイエンス 2020 年 7 月号

過去のパンデミックが収まってきた経緯を3つの事例で見ていく。

  1. 1918-1919 年 H1N1型インフルエンザ(スペイン風邪)。感染者 5 億人、死者 5000 万~1 億人。多くの人が感染して 集団免疫を獲得して終息。この株はその後 40 年にわたって季節性のインフルエンザになり定常的に蔓延。 この株が消えるのは 1957 年の H2N2 型の流行のため。
  2. 2003 年 SARS。SARS-Cov が原因。病原性が強く、感染するとすぐに発症し重症化するし、 重症化しないと感染性が出ないため、封じ込めがうまくいった。死者 774 人。
  3. 2009 年 H1N1 型インフルエンザ(豚インフルエンザ)。それほどひどくなかった上、半年でワクチンができた。 その後は季節性のインフルエンザになった。

COVID-19 が今後どうなるか、半分は社会と政治の問題、半分は科学の問題である。

遺伝子を自動的に複製する PCR 法の発見

Kary B. Mullis, "The Unusual Origin of the Polymerase Chain Reaction", Scientific American, April 1990
中西真人(訳), pp.69-79
初出:日経サイエンス 1990 年 6 月号

PCR 法発見者が、PCR 法の原理をどうやって思いついたかを書き記している。もともと Mullis は、 DNA の塩基配列の決定法をいろいろ考えていた。その途中で DNA の決まった区間を倍々に増やすことができることに気付き、 かつその重要性にも思い至った。1993 年、PCR 法発見の功績でノーベル化学賞受賞。

PCR 法の説明を会社のいろいろな人にしてみて、最初に認めてくれたのは会社の特許代理人の Albert Halluin だった。 会社の学術研究集会で発表した時、最初に興味を持ってくれたのは、ノーベル賞受賞者の Joshua Lederberg だった。 彼は、自分がどうしてこれを思いつかなかったのだろうという顔をしていた。

PCR 法の原理:

  1. 2種類のプライマーと鋳型の DNA を混ぜて加熱し、バラバラにする (Denature)
  2. 温度を下げると、プライマーと鋳型の DNA の相補的な塩基配列の部分が結合する (Annealing)
  3. そこに DNA ポリメラーゼを加えると、DNA 鎖が伸張する (Elongation)
  4. このサイクルを繰り返す。

人を襲うカビ 真菌感染症

Maryn MacKenna, "Deadly Kingdom", Scientific American, June 2021
古川奈々子(翻訳協力), pp.80-89
初出:日経サイエンス 2021 年 9 月号

致死的な真菌感染症があることはあまり知られていない。従来の常識では、人間は体温が高いことで 真菌から守られていることになっていたが、地球温暖化で真菌もそれに適応して高温で生きられるようになるかもしれない。 さらに、最近は免疫が弱い人が長生きできるし、自己免疫疾患のために免疫を抑制している人もいる。 COVID-19 の治療のために、免疫を抑制する薬を使っていることもある。

世界的に見て、毎年 160 万人くらいが真菌性の疾患で亡くなっている。これはマラリアよりも多く、 結核と同程度だ。

薬は大きく言って3種類(ポリエン系、アゾール系、キャンディン系)しかないので、 それらに耐性がある菌が現れると薬がすぐに無くなってしまう。 真菌の細胞は、人間の細胞とけっこう似ているので、薬の開発が難しく、副作用が激しいことも多い。 しかも、真菌が薬に対する耐性を獲得する場合が多い。

真菌に対するワクチンはまだできていない。イヌが真菌感染症にかかりやすいので、イヌ用のワクチンの開発を 手がかりにすることに期待が持たれている。

Part 4 ワクチン開発の現状

日本に上陸 mRNA ワクチンの実力

出村政彬, 長谷川秀樹(協力), pp.90-99
初出:日経サイエンス 2021 年 5 月号

mRNA ワクチンは、ウイルスを使うことなく、細胞へのウイルス感染を模擬する。 ワクチンが樹状細胞に取り込まれると、樹状細胞はスパイク蛋白質を合成して、細胞表現に掲げる。 樹状細胞はリンパ節に移動し、スパイク断片をうまく認識できるリンパ球を選び出す。 選ばれたリンパ球は増殖する。これによって獲得免疫の働きが高まる。

従来のワクチンに比べると (1) 大量のスパイクたんぱく質ができることと (2) 細胞表面にタンパク質の一部が提示されることが異なる。 (2) の性質のために、キラーT細胞が強く活性化されるので、VDE(ワクチン関連疾患増悪)が起こりにくく、 スパイクたんぱく質を作り続ける細胞をキラーT細胞が殺してくれるという利点がある。

mRNA ワクチンの技術開発は 1990 年ころに始まる。越えなければならない2つの壁があった。 (a) 血液中や細胞と細胞の隙間にある RNA 分解酵素で分解されないようにすることと (b) 細胞内に含まれる RNA センサーがはたらいて分解されるのを防ぐことである。 (b) の点に関しては、ウラシルを似て非なる塩基で置き換えることと、二重鎖 RNA を 取り除くことで回避できるようになった。これらのブレークスルーは Katalin Karikó らによる成果である。 (a) の点に関しては、高分子や脂質のカプセルで包むことにより回避された。 当初、多くの研究者は半信半疑だったが、高い有効率を見せつけられて、多くの専門家が利益が大きいと考えるようになった。

アストラゼネカなどはウイルスベクターワクチンを作っている。ウイルスベクターワクチンでは、他のウイルスの 遺伝子の中に、スパイクたんぱく質の遺伝子を組み込む。アストラゼネカでは、ウイルスとしてチンパンジーの アデノウイルスを用いる。チンパンジーのウイルスを使うのは、ヒトに病気を起こさないためと、すでに免疫がある人が いないためである。

接種の進んだイスラエルでは、有効性が実証されてきている。

変異ウイルスに対しては、変異に対応したワクチンを作ればよい。この場合の問題は、変異に対応したワクチンを どのくらい速やかに承認できるかである。仕組み作りのための議論が始まっている。

米国に見る大量接種の課題

S. ブッシュウィック, "Why COVID Vaccines Are Taking So Long to Reach You", scientificamerican.com, February 11, 2021
古川奈々子(翻訳協力), pp.100-102
初出:日経サイエンス 2021 年 5 月号

米国においてワクチン接種のペースを上げられない大きな理由は2つある。

  1. 材料不足。原材料と必要な物品(注射器やバイアル)の調達が間に合わない。
  2. 優先順位に沿って人々を接種会場に集めることの難しさ。適切な予約システムがまだできていない。

次に控える新設計ワクチン

Zoe Cormier, "The Second-Generatioin COVID Vaccines Are Coming", scientificamerican.com, January 20, 2021
古川奈々子(翻訳協力), pp.103-105
初出:日経サイエンス 2021 年 5 月号

現在使われている新型コロナウイルスワクチンにはまだ不明な点が多い。とくに持続性がどのくらいあるかがわからない。 そんな中、新たなワクチン候補も多くあり、そのうちの3つを紹介する。

  1. 自己増殖 RNA ワクチン (英 Imperial College London)。mRNA ワクチンと仕組みは似ているが、 人体の細胞をスパイクたんぱく質を自力で作り続ける工場にするように設計されている。
  2. タンパク質サブユニットワクチン (米 Novavax)。スパイクたんぱく質そのものを投与。 アジュバントとしてサポニンを用いる。
  3. タンパク質ナノ粒子ワクチン (米 Washington 大学タンパク質設計研究所)。スパイクたんぱく質のうち、 ヒト細胞に直接融合する「受容体結合ドメイン (RBD)」という部分だけを投与。ナノ粒子の上に RBD タンパク質をくっつけたものを使う。

ワクチン迅速開発へ新手法

Charles Schmidt, "The Vaccine Quest", Scientific American, June 2020
古川奈々子(翻訳協力), pp.106-109
初出:日経サイエンス 2020 年 7 月号

SARS-Cov-2 に対して、最近では、遺伝子ベースのワクチン開発が試みられている。 ウイルスの DNA か RNA の断片を ヒトの細胞に注入してウイルス蛋白質を作らせ、それに対する抗体を作らせる。 SARS-CoV-2 では、 ウイルスから突き出しているスパイク蛋白質を作らせようとしている。

遺伝子を送り込む方法として3つ考えられている。

  1. プラスミド DNA を用いる方法。ただし、この方法だと、プラスミドが細胞膜を通り抜けにくいという難点がある。 米 INOVIO pharmaceuticals が開発中。
  2. RNA をカプセルに封入して注射する方法。この方法の難点は、冷凍保存する必要があることだ。米 Moderna が開発中。
  3. DNA をアデノウイルスに挿入して人に感染させることだ。 この方法の難点は、アデノウイルスがヒトの免疫系に攻撃される可能性があること、 あるいは逆に、アデノウイルスが増殖して病気を起こすリスクがあるかもしれないことだ。米 Johnson & Johnson が開発中。

難点を克服する方法はいろいろ工夫されている。一般的には、ほかにも「抗体依存性感染増強」が心配されている。

Part 5 COVID-19 と社会

拡散を防げ 新型コロナの誤情報

Kathleen Hall Jamieson, "How to Counter COVID Misinformation", Scientific American, April 2021
編集部(訳), pp.111-117
初出:日経サイエンス 2021 年 5 月号

怪しげな情報から身を守る方法:

  1. 重要な事実を見つけてブックマークする ... 信頼できる組織のページをチェックする。
  2. 科学が混乱を含んでいて暫定的であることに留意する ... 科学的知見が変わることを承知しておく。内容と文脈を正確に理解することが重要。
  3. よい行動のお手本を作って規範とする ... 社会規範は重要。
  4. 科学を非政治化 ... 科学的事実は政治的な立場とは別。
  5. 「いいね」を押す前に一考
  6. 現実的な目標を設定する ... 予防行動に消極的だが、気持ちを変えてくれそうな人に的を絞る。
  7. 汝の隣人を守れ ... マスクの効果を疑っている人でも、地域社会の平和のためとなればマスクをしてくれるかもしれない。
  8. 地域で免疫を ... まずは地域社会で免疫をつけよう。

強まるストレスにどう対処するか

M.W. モイヤー, "Coping with Pandemic Stress", Scientific American, March 2021
編集部(訳), pp.118-123
初出:日経サイエンス 2021 年 4 月号

パンデミックにより、多くの人に精神的ストレスがかかっている。対処方法の例として以下のようなものがある:

医療現場を蝕む心の危機

Jillian Mock, "Frontline Trauma", Scientific American, June 2020
梶浦真美(翻訳協力), pp.124-126
初出:日経サイエンス 2020 年 7 月号

医療従事者には多大な精神的負担がかかっている。