『チェルノブイリの祈り』などでノーベル賞を受賞した作家がいるというのは知っていたが、作品を読んだことはなかった。 人々の証言を編むという形の文学を創造したということのようだ。そういえば、石牟礼道子の『苦海浄土』も似たような コンセプトの小説であった。ただ、『苦海浄土』の方は証言をそのまま使っているわけではなくて、作者が被害者を代弁して 創作している部分も多いようだが。
『戦争は女の顔をしていない』は戦争の悲惨を語りかける。20 世紀以降、戦争は誰にとっても悲惨なものになった。 その一つの側面が見事に描き出されている。