最近メートル法の4つの単位の定義が変わった (2018 年 11 月承認、2019 年 5月施行)。 その施行1年前に書かれた本で、定義改定の経緯がわかりやすく書かれている。 したがって、この本の中で「現在」とあるのは、改定前の状況であることに注意しないといけない。 私がこの本を買ったのは改定直後だったが、しばらく読まずに放ってあって、今夏休み読むことにした。
本書は、とくに質量の標準の改定に関する解説を中心に書かれている。身近な単位でもあり、SI 単位系から原器が消えたことを 象徴する単位でもあるので、これに重点が置かれることは首肯できる。 話はいろいろ込み入った部分があるのだが、全体的にわかりやすく書かれている。 しかし、難しいせいかきちんと書かれていない部分もある。
- プランク定数とアボガドロ数の関係(第8章)。関係はあるけれども、詳細は省くとしてある。
- 第9章のアボガドロ数の決定のとろこで、28Si の原子の質量もしくはモル質量の決定が必要なはずだが、 全く触れられていない。
- 第 4 章図 4.10 の近く
- 地球の大きさに半径10cmのボールを並べるとほぼアボガドロ数個になるというところで、 2.62×1023×100/52 = 5.04×1023 と計算しているが、 2.62×1023×52/100 = 1.36×1023 が正しい。