オランダ商館長が見た江戸の災害

著者Frederik Cryns (フレデリック・クレインス)
解説磯田道史
シリーズ講談社現代新書
発行所講談社
電子書籍
電子書籍刊行2020/01/01
電子書籍底本刊行2019/12
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読了2022/03/30

オランダ商館長が克明に記録した日記から江戸時代の災害を読み解くというもの。 当時の日本人だと当たり前だと思って記録しないことまで記録しているから、現代日本人としては非常にありがたい記録である。 著者のクレインス氏は、ベルギー人で、オランダのハーグ国立文書館に眠っていたオランダ商館長の日記を 読み解く仕事をしておられるようである。

1章、2章、5章は火災の記録で、江戸時代の都会は本当に火災が多かったことが分かる。 とくに1章の明暦の大火は、商館長自身が被災し、記述に臨場感があるため、読んでいてもドキドキ感があって、非常に面白い。 外国人で不案内なところで災害に遭って、心細かったであろうことが読み取れる。 磯田氏の解説によれば、江戸では火災が多かったため、火災から復興する仕組みが発達し、 材木商が集まった深川では料亭文化が花開いた。

4章の長崎における群発地震の話は、そんな地震があったという話は聞いたことが無かったし、 日本の記録にはあまりないそうで、興味深かった。五島列島で大きな被害があったと書いてあることから、 福江火山群で火山性の地震があったのかとも思うが、よくわからない。

サマリー

第1章 明暦の大火を生き抜いた商館長ワーヘナール

第2章 商館長ブヘリヨンがもたらした消火ポンプ

第3章 商館長タントが見た元禄地震

第4章 商館長ハルトヒと肥前長崎地震

第5章 商館長ファン・レーデが記した京都天明の火災

第6章 島原大変肥後迷惑―商館長シャセーの記録

商館外科医のアンブロシウス・ケラーによる「日本の島原における最近の地震に関する報告」も ハーグ国立文書館に残っている。ケラーが収集した噴火の経過は以下の通り。