ドリトル先生 ガラパゴスを救う 福岡伸一の新・ドリトル先生物語

著者福岡 伸一
連載朝日新聞朝刊 2021/04/01--2022/03/31
読了2022/03/31
参考 web pages福岡伸一の新・ドリトル先生物語 twitter

生物学者の福岡伸一が、今風のドリトル先生を描いたもので、楽しめた。ドリトル先生とスタビンズ少年と 動物たちが協力して、ガラパゴス諸島をエクアドルに領有させることで、イギリスによる植民地化を防ぎ、 ガラパゴスの自然を守る、というストーリー。随所に生物学や科学史の知見をちりばめてあり、興味深い。 たとえば、往路の気球に乗っていくところでは、キャベンディッシュによる水素の発見の話を交えたりしている。

帰路の、地球を貫通するトンネルを通ってイギリスに戻ってくるところは、地球科学者からするとやや残念で、 ジオイド概念を入れてほしかったと思う。地球が扁平だから、ガラパゴスからイギリスへは行くときは勢いが余るが、 反対向きは途中で止まってしまうとは言えない。重力ポテンシャルで考えると、摩擦を無視すれば、 標高が同じところまで行けるという方が正しい。