金子みすゞは、私が子供の頃はそう読まれていなかった気がするが、最近では広く知られるようになり、 平成 8 年度からは教科書にも採用されているとのこと。
大正デモクラシーの時代、「赤い鳥」をはじめとする児童文芸誌が広く流通した時代があって、 そこで童謡詩が生まれたということを初めて知った。北原白秋、野口雨情、西條八十が三大童謡詩人である。 みすゞは、そこに詩を発表した。 昔は、教科書に載っている童謡詩といえば、白秋が筆頭だったように思うが、今や時代の好みが金子みすゞの方に シフトしているのかもしれない。白秋に比べると、みすゞの詩には幼さを感じるのだけれど、そういうやさしさが 今の時代の好みということだろう。
今の時代、子供のための詩が生まれる場所はあまりない。子供のための歌が生まれる場としては、NHK と アニメが代表的なように思う。たとえば、NHK が生んだものとしては、2018--2020 年の「パプリカ」、 アニメが生んだものとしては、1988 年の「さんぽ」(『となりのトトロ』のエンディング)がある。 しかし、どちらも詩よりもメロディーに重点が置かれた曲であるように思う。