だいぶん前に買ってあって放ってあったのを読んだ。読みやすく、3日で読み終わった。 内容は、布石においては、勢力が強い方かどうかの判断を碁盤の半分における石数だけでやってよいという大胆な提案である。 この提案はなかなか斬新で評価できる。囲碁における「勢力」は基本的に石数だということがわかる。 半分に割るというのも意味深長で、碁盤というのは全体を見る必要があることは少ないけれども、 あんまり局所的に見ていても判断を誤る。半分くらいがちょうど良いという主張である。 これは囲碁というゲームの性質について何かを語っていることになっているはずだが、その神髄はよくわからない。
しかし、挙げられている問題を実際に解いてみると、この碁盤半分の石数を数えるというヒントが かえって仇になって間違えることもあった。間違える理由は2つあった。
- 碁盤を半分に分けるラインを中央縦線か中央横線に限っていることである。どちらにするかを間違えると 判断を間違えることがある。実際の勢力を決めているのは、斜めの線などの方が適当なこともあり、単純化し過ぎて かえって判断が難しくなっていることもある。
- ここの問題では、2者択一式になっていて、石数が同じ時は「普通の手」、多い時は「強気の手」、少ない時は「控えめの手」 を選ぶことにしてある。ところが、どちらが強気度が高いかは分かっても、「普通の手」がどちらかを判断するのはけっこう難しい。 つまり、勢力が拮抗しているときの手の判断が難しい。
まあ結局のところ、ある程度先の図を予想しないと結論は出ないということで、石数というヒントはあくまでもヒントとして 参考にする程度のことのようである。