特集 藤井聡太と王者の証明。

雑誌Number「スポーツ・グラフィック ナンバー」1060 号, 10/20, 第43巻第18号
発行所文藝春秋
刊行2022/10/20(発売:2022/10/06)
入手九大生協で購入
読了2022/11/23
参考 web pages雑誌 web page

藤井聡太の竜王防衛戦開幕特集。

今回の読みどころだと思ったのは、全盛期を過ぎた棋士のモチベーションということで、羽生善治と橋本崇載(たかのり)の記事だ。 プロの勝負事と言うのは必ず勝ち負けが付くから、プロのおおむね半分は勝ち越し、半分は負け越しの生活を送っている。 脚光を浴びるのは、勝っている人たちであり、負けている人たちはあまり見向きもされないから、その複雑な心のうちは なかなかわからない。羽生と橋本のインタビュー記事は、全盛期を過ぎた人のモチベーションがどうなるのかわかるものであった。

羽生は言わずと知れたスーパースターだが、50代になって成績も落ちてきている。それでも元スーパースターだけあって 余裕が感じられる。その中で、勝ち負けに対してはなかなか含蓄のあることを言っている。

勝ちたいという気持ちを強く持ちすぎると、オーバーモチベーションで自分の力が発揮できない。だから、そぎ落とすことが 大事です。ただ、負けなくないという気持ちまで無くなると、モチベーションが下がるので意味がないんですよ。 本当に何のためにやってるのかわからなくなっちゃう。だから、その『間』が一番いいですね。

羽生は、年齢を重ねてもモチベーションを保つように心をコントロールできているようだ。

橋本は、家庭内不和がきっかけとなってプロ棋士を辞めてしまった。しかし、そうでなくてもモチベーションが切れていたという。

藤井さん以外のトップ10の棋士にもほぼ勝てないと思うんですよ。そうなるとモチベーションを保てないし、 自分はどこを目指せばいいのか、わからなくなっていたと思う。

全盛期を過ぎ、心が折れてしまったということのようだ。位取りを目標にすると、下り坂になって モチベーションを保てなくなることが分かる。