この漫画を手に取ったのは、BEAM COMIX 電子書籍が安売りをしていて、その中でスタイリッシュな絵柄が目を引いたからである。 背景の描き方は都会的に簡素で洗練されており、人物の描き方も洋風でシャレている。
ストーリーは、ロンドン市長殺害事件をめぐるサスペンスである。大学生のアル・アドリーは、事件の2日後、 凶器のナイフが自分の上着のポケットに入っていることを発見する。そのときアルのアパートに現れたエリス警部は、 アルの無実を信じて捜査を進める。アルはアジア系、エリスは黒人で、そのマイノリティー二人が協力して最後は事件の真相を明らかにする。 善玉の主役をマイノリティーの人々にして、悪党やら脇役やらが白人という構成も、多様性が重視される現在、好ましい。
この作品は、 文化庁メディア芸術祭第25回マンガ部門新人賞を受賞している。受賞理由を見ても「バンドデシネのスタイルを 「マンガ」寄りに昇華させた絵柄」が第一に挙げられている。