講談社現代新書の新シリーズ「現代新書 100」(紹介1、 紹介2)の第一弾。 このシリーズは、思想家の紹介を100ページ程度の薄っぺらくて読みやすい新書にするというものである。 感覚としては、NHK「100分de名著」の現代新書版という感じだ。「100分de名著」と同様の4章編成で (といってもこれは『ショーペンハウアー』に限る。2冊目の『ハンナ・アーレント』は6章編成。)、 「100分de名著」テキストよりも少し薄い。「100分de名著」がニーチェで始まり、 「現代新書 100」がショーペンハウアーで始まるというのは、なかなか面白い。 どちらも 19 世紀の思想家で、人生の苦しみを問題にした。
本書を読んで初めて知ったのだが、ショーペンハウアーはインド哲学を学び、一切皆苦という人生観の中で 利他を説いたということなので、まさに仏教思想家と言えそうだ。一番売れている本が、主著ではなく、 『幸福について』のような処世訓だというのも宗教家っぽい。