世界の常識は日本の非常識 自然エネは儲かる!

著者吉原 毅
シリーズ講談社+α新書
発行所講談社
電子書籍
電子書籍刊行2018/12/01
電子書籍底本刊行2018/11
入手電子書籍書店 honto で購入
読了2022/02/10

原発をやめて自然エネルギーに移ろうという主張をしている本。以前は、自然エネルギーは値段が高い (ということは作るのに多くのエネルギーを使っているということ)と聞いていたので、あまり意味ないのかなと思っていたが、 この本によると自然エネルギーは値段が安いのだそうである。そうだとすると、自然エネルギーに移らない手はない。

私がまだ気になるのは、自然エネルギーだけで必要なエネルギー量をどの程度までまかなえるかということである。 自然エネルギーは効率がそれほど高いわけではないし、広い土地も使う。原発は論外としても、重厚長大産業のためには 火力(石炭、石油、ガス)はまだ必要なのではないかという疑問が残る。新書程度だと、いつもそのへんの計算が良く分からない。 外国では自然エネルギーで賄っていると言われても、日本とは条件が違う点もあり、そう単純な比較はできない。

とはいえ、すでに自然エネルギーは原発を追い越している。 「エネルギー白書2021」を見ると、 2019 年度の電源構成は、LNG 37.1%、石炭 31.8%、石油等 6.8 %、新エネ等 10.3%、水力 7.8%、原子力 6.2% だから、 新エネ等+水力を自然エネルギーとすると 18.1% ですでに原子力を超えている。もはや原子力発電をやっている意味は良く分からない。 もっとも、福島原発事故以降、原子力を補ったのは LNG 火力と石炭火力であって、自然エネルギーではない。新エネ等は少しずつしか増えない。

キーとなるのは、自然エネルギーをどれだけ地産地消できる仕組みを作れるかということだろう。 電気は、送電コストがバカにならないので、その場で消費するのが良い。一方で、自然エネルギーはコントロールが難しいので、 うまく融通しないと余ったり足りなくなったりする。そのあたりを制御して安定的に供給する仕組みが必要になる。

サマリー

第1章 日本人はだまされている

第2章 拡大する世界の自然エネルギー

第3章 改革に取り組む海外の政府

第4章 金で劣化した人間たち

第5章 みんなが幸せになる方法