日本語と英語の単語レベルの違いに関するエッセイ集。もともと雑誌連載記事ということで、系統的な議論ではないが、 楽しくするする読める。ちょっと前に買ってあってしばらく書棚に積んであったのを読んだ。
この本で初めて知って興味深かったことを3つほどピックアップしておく:
- [pp.141-142] lost generation は「失われた世代」ではない。「人生の迷子になった世代」である。第一次世界大戦の悲惨さに 直面して、これまでの価値観が無意味になってニヒリズムに陥った世代というのが元の使い方である。 近年、 バブル崩壊後に就職活動をした世代のことをロスジェネとよく言うけれど、元々の英語からすれば間違った使い方ということになる。
- [pp.89-92] capital の語源は「頭」ということ。capital crime が「死刑に値する犯罪」という意味になるのは、 死刑として斬首が普通だったから。capital が「資本」の意味になるのは、日本語の「先立つもの」とか「頭金」などの 言葉を思い出すとだいたい感じが分かる。
- [pp.53-54] 英語の -ism は「~主義」ではなく「~に対する差別」を示すことが多い。たとえば、racism(人種差別)、 sexism(性差別)、ageism(老齢者差別)。