椿説 弓張月

著者瀧澤 馬琴
訳者眞鍋 呉夫
川田 清實
シリーズこころの文庫
企画全日本家庭教育研究会
発行所新学社
入手R から借りた
読了2023/01/21

『椿説弓張月』を中学生用に短縮して現代語に書き直してあるもの。娘から借りて読んだ。 『椿説弓張月』は、高校の時の文学史だか日本史だかでタイトルだけは知っていたのだが、中身は全く知らなかった。 しかし、北斎のこのような絵 を目にして以来、どういう小説なのか気になっていたところ、たまたま娘が持っていたのを目にして借りて読んでみた。

『椿説弓張月』は、弓の名手である源為朝を主人公とした歴史伝奇ファンタジーのような感じで、 北斎の挿絵との組み合わせで江戸文化の精華とも言うべきもののはずだが、なかなか触れる機会が少ない。 そのうち原典をゆっくり読んでみたいものではあるが、とりあえずは中学生用バージョンで十分楽しめた。

『椿説弓張月』に書かれている源為朝伝説は、馬琴がゼロから創作したものではなく、 金学淳「馬琴『椿説弓張月』の長編化構想:話型の反復と連鎖」によると、 『保元物語』『中山傳信録』等の様々な参考文献にある伝説を基にして脚色したもののようである。 この文献によると貴種流離譚が『椿説弓張月』の中のいろいろなエピソードの物語の型になっているとのことである。