デュルケーム 社会分業論

著者芦田 徹郎(てつろう)
シリーズNHK 100分de名著 2025 年 2 月
発行所NHK 出版
電子書籍
刊行2025/02/01(発売:2025/01/25)
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読了2025/03/01

Durkheim の名前は聞いたことはあったけれど、何も読んだことはなかった。『社会分業論』は 近代の分業社会の中で、分業ゆえの相互依存関係を通じた連帯の可能性を論じた本ということであった。

書名 De la division du travail social の division は、「分断」とも訳すことができる。 本書のテーマは、分業を通じた「連帯」なのだが、分業が「分断」ともつながってしまう のが近現代社会の問題なのだろう。

解説を聞いていると、Durkheim の社会学は、科学者社会のありかたを考える基礎でもある感じがして、 けっこう身につまされた。科学者社会は競争社会であると同時に連帯も必要な社会で、そのバランスが難しい。 個人の創造性が高く評価される一方で、個人の能力には限界があって、共同で研究することも必要である。 それらのバランスを取るのは、そう容易なことではない。

「100分de名著」放送時のメモと放送テキストのサマリー

第1回 個人化/孤立化の時代に向き合う

『社会分業論』

Émile Durkheim (1858-1917)

社会的事実

道徳的関係

社会的事実を物として扱う

前近代から近代へ~個人化と連帯

第2回 自律的個人はこうして生まれた

「個人」の誕生

個人の自由とその弊害

第3回 「連帯」とそれをはばむもの

分業と連帯

分業の広がり

分業が生む対立

現代の「分業」の問題点

第4回 「個人の自律」と「連帯」の両立―依存の復権へ向けて

中間集団の構想

自律と依存

見直される「依存」