アトウッド 侍女の物語 誓願

著者鴻巣 友季子
シリーズNHK 100分de名著 2025 年 6 月
発行所NHK 出版
電子書籍
刊行2025/06/01(発売:2025/05/25)
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読了2025/06/27

以前、NHK「100 分 de フェミニズム」で取り上げられていた連作ディストピア小説。 今月の「名著」はその拡充版である。 アメリカでは第2次トランプ政権が誕生し、出鱈目な反 DEI (Diversity, Equity, Inclusion) 政治が行われる中で(日本でも安倍・菅政権では、トランプほどではないが出鱈目な政治が行われていたのだった)、 それを予見するかのような小説が取り上げられたということである。

アトウッドが描くディストピアは、アメリカがキリスト教原理主義的国家ギレアデになったという想定である。 ギレアデは、男尊女卑と反知性(愚民政策)で特徴づけられる。特に、性を管理し女性を愚民化するというところが ポイントである。その間、男性もある程度愚民化されていたのだろうが、そのへんは少なくともこの解説では よくわからなかった。男性は女性を支配する敵だと見られているようである。

もし本当にアメリカのような超大国がディストピア化すると、現在の トランプのアメリカがそうであるように、世界への波及効果が計り知れないだろう。 この小説では、そういうところまでは扱っておらず、一国の問題として捉えられているようである。

「100分de名著」放送時のメモと放送テキストのサマリー

第1回 すぐそこにあるディストピア

Margaret Atwood

『侍女の物語』『誓願』の背景

『侍女の物語』『誓願』の舞台と設定

ディストピア小説の歴史と近年のリバイバル

ディストピア

第2回 性搾取の管理社会

Offred の境遇とギレアデ共和国の性管理の仕組み

ギレアデ研究シンポジウムと性管理の理論的基盤

ギレアデにおける自由

第3回 言葉を奪われた女たち

『誓願』

文字を奪われた女性と与えられた女性

リディア小母の計画

第4回 闘う女たち

デイジー

アグネスとベッカ

リディア小母の作戦

『誓願』巻末の議事録