以前、NHK「100 分 de フェミニズム」で取り上げられていた連作ディストピア小説。 今月の「名著」はその拡充版である。 アメリカでは第2次トランプ政権が誕生し、出鱈目な反 DEI (Diversity, Equity, Inclusion) 政治が行われる中で(日本でも安倍・菅政権では、トランプほどではないが出鱈目な政治が行われていたのだった)、 それを予見するかのような小説が取り上げられたということである。
アトウッドが描くディストピアは、アメリカがキリスト教原理主義的国家ギレアデになったという想定である。 ギレアデは、男尊女卑と反知性(愚民政策)で特徴づけられる。特に、性を管理し女性を愚民化するというところが ポイントである。その間、男性もある程度愚民化されていたのだろうが、そのへんは少なくともこの解説では よくわからなかった。男性は女性を支配する敵だと見られているようである。
もし本当にアメリカのような超大国がディストピア化すると、現在の トランプのアメリカがそうであるように、世界への波及効果が計り知れないだろう。 この小説では、そういうところまでは扱っておらず、一国の問題として捉えられているようである。