医学の基本を新しい知見を交えて解説するという講座で、楽しめた。講師は、京都大学医学部の先生たちが中心になっている。 過去の NHK の番組で使われた映像が再利用された NHK ならではの場面も多い。取り上げられている内容は、健康に関係した 人体のいろいろな働きである。人体の働きに関することは、基本的なことでもようやく最近になってわかってきたことがあるので、 昔の知識が更新できる。
以下、回ごとにポイントとなることがらをまとめておく。
- 第1回 生命誕生の神秘
- 発生の話。卵細胞が受精して、分化していく様子。
- 最近の話題としては iPS 細胞関連の話。
- 第2回 生命の設計図・ゲノム
- 数年前にヒトゲノムの塩基配列の解読が完了したが、それらの意味の解読は今盛んに研究されているところである。
- 個人の遺伝子に個別に対応するゲノム医療が始まっている。
- 第3回 “おいしい”を科学する!
- 味覚は、体に有用なものを体内に入れ、危険なものを入れないために発達した感覚である。
- 最近、舌以外にも体のいろいろな部分に味覚センサーがあることがわかってきた。
- 第4回 動き続けられる体
- 筋肉と骨を丈夫に保つことが動ける体を保つために必要。
- 第5回 腎臓が寿命を決める!?
- 腎臓の役割で重要なのは、老廃物を尿として対外に排出することだが、それだけではない。
- 近年、腎臓が臓器ネットワークの要であることがわかってきている。したがって、腎臓の不調は全身の老化につながる。
- 第6回 腸内細菌との上手な共存
- 腸内細菌の全体像と役割が分かってきたのはごく最近のこと。腸内細菌には嫌気性細菌が多く、したがって大腸に多く棲んでいる。
- 小腸のパイエル板という場所では、腸内細菌を利用して免疫細胞が訓練されている。
- 第7回 感染症との闘い
- 人は、古くから感染症と共に生き、闘ってきた。感染症の原因には細菌とウイルスがある。
- 免疫が体を感染症から守る。その働きを利用して感染症を防ぐのがワクチンで、新型コロナウイルスに対しては新たに mRNA ワクチンが開発された。
- 第8回 最大の臓器・皮膚
- 皮膚には外から来た異物に対するバリア機能がある。物理的バリア機能と免疫システムで体を異物から守っている。
- 食物アレルギーは、皮膚から食物が入ってくることによって起きやすいことが最近分かってきた。口から入ると、むしろ免疫を抑制する。
- 第9回 眠りの本質を理解する
- 生物にとっては、睡眠状態が元々の状態で、覚醒状態は脳の進化によって新たに生まれてきた状態である。 生物の行動には、意識でコントロールされない部分も多い。
- 脳にいろいろな情報が入ると睡眠圧が高まる。それをオレキシンがコントロールする覚醒シグナルが押しとどめることで、 1日の睡眠サイクルが形作られる。
- 第11回 生まれか育ちか
- 身体は DNA だけで決まるのではなく、遺伝子のスイッチのオンオフを決めるエピジェネティクスも重要である。
- エピジェネティクスは、もともと発生や分化を制御するプログラムだったが、環境や偶然によって個性を生み出すことにもなった。 病気や老化とも関係している。
- 第12回 未来の私たち
- クローン技術、EPS 細胞、iPS 細胞、オルガノイドから人工生命へと研究の流れがつながっている。
- ミトコンドリアの細胞内共生をはじめとして、生命の進化の中で共生ということはよく起こっている。