動物のお医者さん(全12巻)

著者佐々木 倫子(のりこ)
シリーズ花とゆめ COMICS
発行所白泉社
刊行 [第1巻] 1989/04/25、刷:1991/03/15(第23刷) [第2巻] 1989/08/25、刷:1989/11/15(第3刷) [第3巻] 1990/04/25(第1刷) [第4巻] 1990/11/25、刷:1993/02/15(第23刷) [第5巻] 1991/03/25(第1刷) [第6巻] 1991/08/25(第1刷) [第7巻] 1992/01/25(第1刷) [第8巻] 1992/07/25(第1刷) [第9巻] 1993/01/25、刷:1996/07/15(第22刷) [第10巻] 1993/08/25(第1刷) [第11巻] 1994/01/25(第1刷) [第12巻] 1994/05/25(第1刷)
初出花とゆめ 1988 年 1~19、21~24 号、1989 年 1~4、7~20、23~24 号、 1990 年 1~8、11~24 号、1991 年 1~8、11~22 号、1992 年 1~11、14~18、20~23 号、 1993 年 2~6、9~12、15~19、21~24 号
入手A から借りた
読了2026/06/25
参考 web pages Wikipedia「動物のお医者さん」
新装版「動物のお医者さん」に獣医師がマジレスする話 note by 黒猫デル太
北大 Wiki「動物のお医者さん」

ずいぶん前に流行った漫画である。たまたま話題に上がって貸してもらったので、読んでみた。 H 大(北海道大学のこと)獣医学部の学生で主人公の西根公輝(ハムテル)その友人の二階堂の周囲で起こる いろいろなドタバタエピソードがユーモラスに描かれている。二人が H 大獣医学部に入るところから、博士課程の 途中までが描かれている。最後は、大学院修了後に開業できる可能性が出てきたところで終わる。第1巻巻末 Making によれば、作者が獣医のことを書くことになったのは、編集部からの注文だったそうだ。 動物を登場させることに必然性を持たせてほしいということだったので、札幌在住の著者は北海道大学獣医学部を取材することになったそうだ。

絵としては、動物の絵が比較的写実的で、推測される動物の気持ちが文で書かれているのが、面白いし、 現実味がある。この漫画の人気の秘密はここにあるのだと思う。メインキャラクターの一つの シベリアンハスキーのチョビの、馬力はあるが温厚でちょっと抜けている感じが可愛い。 この漫画のおかげで、当時、シベリアンハスキーがブームになったが、あまり飼いやすい犬ではなく、 飼育放棄が 問題になったことを思い出す。

とはいえ、学生の顔がみんな似ているのが気になる。メイン登場人物のハムテルと二階堂の 顔立ちが似ていて、区別が難しい。髪型が違うので区別できるのだが、髪型が分かりにくい角度からの描写だと どちらなのかよくわからなくなる。

主要登場人物の一人である漆原教授はアフリカ好きである。 そのモデルが実在するそうで、獣医学者の橋本信夫氏とのこと。実際、橋本氏は アフリカの仮面や彫像のコレクターであるらしい。もちろん、モデルとなっているのは、 アフリカ好きという側面だけで、変人な部分はだいぶん創作なのであろう。

主要登場人物の一人の菱沼聖子にもモデルがいるそうで、鳥取大学の菱沼貢氏とのこと。漫画では女性だし、結構変わった人に描かれているので、 どの部分のモデルになっているのかは分からない。

なお、上の「参考 web pages」に挙げた獣医さんが書いた note は、毎話ごとに獣医さんによる注釈が 付いているようなもので、面白い。この獣医さんは、北里大学獣医学部の御出身のようで、 『動物のお医者さん』を愛読していたようである。

主な出来事は以下の通り:

各回のテーマ主な出来事
1 1 仔犬、2 チョビ、3 H 大家畜病院、4 スナネズミ、5 豚の飼育実習、6 患畜ネコ取り違え、 7 血液検査、8 馬のセリカ、9 チョビとニワトリ、10 二階堂のネズミ嫌い、11 獣医学部の運動会
  • ハムテルは、高校3年生の時、二階堂と一緒に H 大の近くを歩いていると、 漆原教授にシベリアンハスキーを押し付けられて、飼うことになる (第 1 回)。 二階堂が仮に「チョビ」と呼んでいるうちに、「チョビ」が名前になった (第 2 回)。
  • ハムテルがチョビを H 大附属家畜病院に診察に連れて行ったとき、また漆原教授から スナネズミを2匹押し付けられて、飼うことになる (第 3 回)。すると、たちまち増殖した (第 4 回)。
  • ハムテルと二階堂は H 大理IIIに合格し、2年の秋に獣医学部に進学することを決める (第 5 回)。
2 12 菅原教授のいたずら、13 モズの子供の飼育、14 試験、15 羊の毛刈り、16 牧場実習の貧しい食事、17 菱沼の盲腸炎、 18 西根家のヒヨちゃんと2羽の雌鶏、19 大学祭1日獣医さん、20 犬のスコシ、21 嶋田小夜、22 酒好きのスナネズミ
  • 前期の試験が夏休み前に行われた (第 14 回)。
  • 片付け魔の嶋田小夜(さよ)が、漆原教授のガサツさに耐えきれず、菅原教授の公衆衛生学講座に移籍する (第 21 回)。
3 23 菱沼と外科医、24 微生物同定実習、25 ハムテルの両親、26 3年前のチョビとミケ、27 病院配属、 28 吹き矢、29 菱沼の就職活動、30 九官鳥のキューちゃん、31 二階堂の猫、32 応急手当
  • 3年終わりの講座配属で、ハムテルと二階堂は漆原教授の病院に行くことにする(第 27 回)。
  • 二階堂家では3匹の子猫を飼うことにする(第 31 回)。
4 33 犬の散歩のバイト、34 ジンギスカンをカラスが襲撃、35 吸光光度計を借りる菱沼、 36 乗馬クラブのオオニシキ号、37 乗馬クラブのリュウセイ号、38 夏のアマガエル、 39 ヨークシャーテリアの二階堂アン、40 菱沼の英語論文執筆、41 獣医の息子の小林、 42 4年前のチョビのしつけ、43 スナネズミのシール泥棒
  • 秋になって、2年生が新たに獣医学部に入ってきた(第 41 回)。その中の獣医の息子の小林は、 当初、派手なおしゃれをしていたが、獣医学部になじむにつれておしゃれを諦めるようになっていった。
5 44 西根家の家族麻雀、45 菱沼家の犬「源三」、46 牛のモモちゃんの出産、47 2月の期末試験、 48 菱沼聖子の見合い話、49 動物園における類人猿の世話、50 ミケと中川の猫ガブリエル、 51 応用電気研究所の美人秘書、52 病院が好きな犬クルタン
  • 新年を迎える(第 44,45 回)。
  • 春、新学期を迎える (第 48-50 回)。菱沼聖子はオーバードクターになる。ハムテルと二階堂は5年生だ。
6 53 漆原教授のしるこ爆弾、54 ハエ取り紙に捕まるミケ、55 チョビの失踪と帰還、56 菱沼の危ない運転、 57 惚れっぽい馬のセイラム号、58 スナネズミを洗うハムテル、59 黒猫のニャオン、60 学会発表準備、 61 加藤さん a.k.a 鬼丸百合子、62 犬のカリンちゃん
  • ハムテルと二階堂は、今年も夏は乗馬クラブでバイトをする(第 57 回)。
  • 漆原教授と菅原教授が頭が上がらない女性、加藤さんが現れる (第 61 回)。彼女は、漆原と菅原が学生だった頃、 薬理学の准教授の鬼丸百合子だった。
7 63 クリスマスの飾り探し、64 漆原教授が隠した口紅、65 ヒヨちゃんのインフルエンザ、66 チョビとハムテルの犬ぞり訓練、 67 チョビとハムテルの犬ぞりレース、68 漆原教授のスケートとジャンプ、69 菱沼聖子の就職、70 雪の日の停電と遭難、 71 ベジタリアン犬のシロさん
  • ハムテルは、マッシャー(犬ぞりを操る人)として、チョビとともに多頭引きの犬ぞりレースに 初めて出場した(第 66,67 回)。チョビはリーダー犬として走り、5位と健闘した。
  • 菱沼聖子が丸大製薬札幌研究所に就職する (第 69 回)。ハムテルと二階堂は翌々年度の大学院進学を決意する。
8 72 チョビの目が開くまで、73 売れ残るチョビ、74 バイクの無許可駐車を成敗、75 海で溺れるミケとチョビ、 76 大型犬の超音波検査、77 菱沼の英文論文の査読、78 インコを預かる西根家のおばあさん、79 ネコのハナちゃんとニャオン、 80 二階堂とドブネズミの戦い
  • 漆原教授が赤ちゃんの時のチョビを育てた思い出話を語る(第 72,73 回)。
  • 菱沼聖子のアパートに遊びに来ていたネコのハナちゃんとニャオンが飼い猫であったことが分かる (第 79 回)。
9 81 ポスターモデルになったチョビ、82 猫の泉、83 足跡の男、84 逃げたソリ犬シーザーとジャック、 85 犬ぞりレースで漆原教授と対決、86 ヒヨちゃんの友達、87 獣医師国家試験、88 清原の犬「平九郎」、 89 チョビの初めての散歩の思い出、90 ゴマフアザラシの子デブリン
  • ハムテルとチョビは、今年も犬ぞりレースに出場し、3位入賞(第 85 回)。
  • ハムテルと二階堂は、獣医師国家試験に合格し (第 87 回)、学部を卒業する (第 88 回)。
10 91 漆原教授と M 大の磯貝教授の因縁の大喧嘩、92 ミケが西根家に来るまで、93 犬嫌いの小泉、94 合鴨の孵化、 95 漆原教授のアフリカンアート蒐集、96 ハムテルの旧友の西根家滞在始末、97 毛を刈られたハスキー犬のハーレー、 98 モモンガ、99 菱沼の静電気体質
  • 就職した旧友たちがお盆休みに西根家に押しかける(第 96 回)。おかげで家がボロボロになる。
  • 菱沼のひどい静電気体質が判明する (第 99 回)。そのために、周囲でフロッピーディスクが使えなくなったり、蛍光灯が切れたりする。
11 100 ミケと二階堂の妹の家出、101 オペラ「トスカ」、102 ヒヨちゃんの生い立ち、103 3度目の犬ぞりレース、 104 就職妄想、105 倉嶋動物病院、106 二階堂里穂の H 大受験、107 菱沼と泥棒、 108 狂犬病の予防注射、109 3億円の研究費
  • 3度目の犬ぞりレースでハムテルとチョビらのチームが優勝する(第 103 回)。
  • ハムテルは、開業獣医の修行として倉嶋動物病院でアルバイトを始める (第 105 回)。倉嶋先生は理想的な先生に思えたが、朝が弱いという弱点があった。
12 110 カラス対人間、111 二階堂の動物病院修行、112 牛の脱走、113 サイレージ、 114 西町家畜診療所、115 犬の乳歯、116 カンガルーワールド、117 銀杏拾い、 118 ハムテル開業の夢、109 ハムテルと二階堂の開業の夢
  • 夏、ハムテルと二階堂は、菱沼の親戚の家で牧場の手伝いをする(第 112,113 回)。
  • ハムテルと二階堂に、西町診療所の機材を譲ってもらって開業する可能性が出てくる (第 118,119 回)。

主な登場人物と登場動物は以下の通り:

名前性格など
西根公輝(ハムテル) 主人公。獣医学部の学生。名前は本当は「まさき」と読む。 両親は祥平(ピアニスト)と絹代(声楽家)でドイツ在住。
二階堂昭夫ハムテルの友人。ネズミが苦手なのにハムテルとともに獣医学部に進学してしまう。
ハムテルのおばあさん頑固でお気楽。
菱沼聖子獣医学部の院生(公衆衛生学講座)。小樽市出身。第7巻で製薬会社の札幌研究所に就職するが、 就職後も大学に出入りしている。
漆原教授獣医学部の教員(病院)。アフリカ好きな変人。
菅原教授獣医学部の教員(公衆衛生学講座)。几帳面。
チョビハムテルが飼っているシベリアンハスキー。
ヒヨ西根家で飼っている鶏。
ミケハムテルのおばあさんが飼っている猫。
スナネズミハムテルが飼っている。増殖する。
フク菱沼の飼い猫。