ずいぶん前に流行った漫画である。たまたま話題に上がって貸してもらったので、読んでみた。 H 大(北海道大学のこと)獣医学部の学生で主人公の西根公輝(ハムテル)その友人の二階堂の周囲で起こる いろいろなドタバタエピソードがユーモラスに描かれている。二人が H 大獣医学部に入るところから、博士課程の 途中までが描かれている。最後は、大学院修了後に開業できる可能性が出てきたところで終わる。第1巻巻末 Making によれば、作者が獣医のことを書くことになったのは、編集部からの注文だったそうだ。 動物を登場させることに必然性を持たせてほしいということだったので、札幌在住の著者は北海道大学獣医学部を取材することになったそうだ。
絵としては、動物の絵が比較的写実的で、推測される動物の気持ちが文で書かれているのが、面白いし、 現実味がある。この漫画の人気の秘密はここにあるのだと思う。メインキャラクターの一つの シベリアンハスキーのチョビの、馬力はあるが温厚でちょっと抜けている感じが可愛い。 この漫画のおかげで、当時、シベリアンハスキーがブームになったが、あまり飼いやすい犬ではなく、 飼育放棄が 問題になったことを思い出す。
とはいえ、学生の顔がみんな似ているのが気になる。メイン登場人物のハムテルと二階堂の 顔立ちが似ていて、区別が難しい。髪型が違うので区別できるのだが、髪型が分かりにくい角度からの描写だと どちらなのかよくわからなくなる。
主要登場人物の一人である漆原教授はアフリカ好きである。 そのモデルが実在するそうで、獣医学者の橋本信夫氏とのこと。実際、橋本氏は アフリカの仮面や彫像のコレクターであるらしい。もちろん、モデルとなっているのは、 アフリカ好きという側面だけで、変人な部分はだいぶん創作なのであろう。
主要登場人物の一人の菱沼聖子にもモデルがいるそうで、鳥取大学の菱沼貢氏とのこと。漫画では女性だし、結構変わった人に描かれているので、 どの部分のモデルになっているのかは分からない。
なお、上の「参考 web pages」に挙げた獣医さんが書いた note は、毎話ごとに獣医さんによる注釈が 付いているようなもので、面白い。この獣医さんは、北里大学獣医学部の御出身のようで、 『動物のお医者さん』を愛読していたようである。
主な出来事は以下の通り:
| 巻 | 各回のテーマ | 主な出来事 |
|---|---|---|
| 1 | 1 仔犬、2 チョビ、3 H 大家畜病院、4 スナネズミ、5 豚の飼育実習、6 患畜ネコ取り違え、 7 血液検査、8 馬のセリカ、9 チョビとニワトリ、10 二階堂のネズミ嫌い、11 獣医学部の運動会 |
|
| 2 | 12 菅原教授のいたずら、13 モズの子供の飼育、14 試験、15 羊の毛刈り、16 牧場実習の貧しい食事、17 菱沼の盲腸炎、 18 西根家のヒヨちゃんと2羽の雌鶏、19 大学祭1日獣医さん、20 犬のスコシ、21 嶋田小夜、22 酒好きのスナネズミ |
|
| 3 | 23 菱沼と外科医、24 微生物同定実習、25 ハムテルの両親、26 3年前のチョビとミケ、27 病院配属、 28 吹き矢、29 菱沼の就職活動、30 九官鳥のキューちゃん、31 二階堂の猫、32 応急手当 |
|
| 4 | 33 犬の散歩のバイト、34 ジンギスカンをカラスが襲撃、35 吸光光度計を借りる菱沼、 36 乗馬クラブのオオニシキ号、37 乗馬クラブのリュウセイ号、38 夏のアマガエル、 39 ヨークシャーテリアの二階堂アン、40 菱沼の英語論文執筆、41 獣医の息子の小林、 42 4年前のチョビのしつけ、43 スナネズミのシール泥棒 |
|
| 5 | 44 西根家の家族麻雀、45 菱沼家の犬「源三」、46 牛のモモちゃんの出産、47 2月の期末試験、 48 菱沼聖子の見合い話、49 動物園における類人猿の世話、50 ミケと中川の猫ガブリエル、 51 応用電気研究所の美人秘書、52 病院が好きな犬クルタン |
|
| 6 | 53 漆原教授のしるこ爆弾、54 ハエ取り紙に捕まるミケ、55 チョビの失踪と帰還、56 菱沼の危ない運転、 57 惚れっぽい馬のセイラム号、58 スナネズミを洗うハムテル、59 黒猫のニャオン、60 学会発表準備、 61 加藤さん a.k.a 鬼丸百合子、62 犬のカリンちゃん |
|
| 7 | 63 クリスマスの飾り探し、64 漆原教授が隠した口紅、65 ヒヨちゃんのインフルエンザ、66 チョビとハムテルの犬ぞり訓練、 67 チョビとハムテルの犬ぞりレース、68 漆原教授のスケートとジャンプ、69 菱沼聖子の就職、70 雪の日の停電と遭難、 71 ベジタリアン犬のシロさん |
|
| 8 | 72 チョビの目が開くまで、73 売れ残るチョビ、74 バイクの無許可駐車を成敗、75 海で溺れるミケとチョビ、 76 大型犬の超音波検査、77 菱沼の英文論文の査読、78 インコを預かる西根家のおばあさん、79 ネコのハナちゃんとニャオン、 80 二階堂とドブネズミの戦い |
|
| 9 | 81 ポスターモデルになったチョビ、82 猫の泉、83 足跡の男、84 逃げたソリ犬シーザーとジャック、 85 犬ぞりレースで漆原教授と対決、86 ヒヨちゃんの友達、87 獣医師国家試験、88 清原の犬「平九郎」、 89 チョビの初めての散歩の思い出、90 ゴマフアザラシの子デブリン |
|
| 10 | 91 漆原教授と M 大の磯貝教授の因縁の大喧嘩、92 ミケが西根家に来るまで、93 犬嫌いの小泉、94 合鴨の孵化、 95 漆原教授のアフリカンアート蒐集、96 ハムテルの旧友の西根家滞在始末、97 毛を刈られたハスキー犬のハーレー、 98 モモンガ、99 菱沼の静電気体質 |
|
| 11 | 100 ミケと二階堂の妹の家出、101 オペラ「トスカ」、102 ヒヨちゃんの生い立ち、103 3度目の犬ぞりレース、 104 就職妄想、105 倉嶋動物病院、106 二階堂里穂の H 大受験、107 菱沼と泥棒、 108 狂犬病の予防注射、109 3億円の研究費 |
|
| 12 | 110 カラス対人間、111 二階堂の動物病院修行、112 牛の脱走、113 サイレージ、 114 西町家畜診療所、115 犬の乳歯、116 カンガルーワールド、117 銀杏拾い、 118 ハムテル開業の夢、109 ハムテルと二階堂の開業の夢 |
|
主な登場人物と登場動物は以下の通り:
| 名前 | 性格など |
|---|---|
| 西根公輝(ハムテル) | 主人公。獣医学部の学生。名前は本当は「まさき」と読む。 両親は祥平(ピアニスト)と絹代(声楽家)でドイツ在住。 |
| 二階堂昭夫 | ハムテルの友人。ネズミが苦手なのにハムテルとともに獣医学部に進学してしまう。 |
| ハムテルのおばあさん | 頑固でお気楽。 |
| 菱沼聖子 | 獣医学部の院生(公衆衛生学講座)。小樽市出身。第7巻で製薬会社の札幌研究所に就職するが、 就職後も大学に出入りしている。 |
| 漆原教授 | 獣医学部の教員(病院)。アフリカ好きな変人。 |
| 菅原教授 | 獣医学部の教員(公衆衛生学講座)。几帳面。 |
| チョビ | ハムテルが飼っているシベリアンハスキー。 |
| ヒヨ | 西根家で飼っている鶏。 |
| ミケ | ハムテルのおばあさんが飼っている猫。 |
| スナネズミ | ハムテルが飼っている。増殖する。 |
| フク | 菱沼の飼い猫。 |