授業で石油について少し話そうと思って、石油生成論について書かれた本を読んでおこうと思い、読んでみた。 で、分かったことは、石油の生成論はまだよく分かっていないということだった。石油は液体なので、 形に関する証拠が残らないし、できた場所から移動するので、どこでどのようにできたかの証拠があまり残らない。 それで、著者のように有機地球化学的な研究がなされるわけだが、有機地球化学だけでは、なかなか決着が付かないことが 多いということのようだ。
著者は、日本有機地球化学会の前身の「有機地球化学研究会」の初代会長だったそうで、日本の石油地球化学の 第一人者だったようである。
本はあまり読みやすいとは言えない。私は、地球科学にはこういういつまで経っても決着が付かないことが往々にして あると知っているから、我慢して読めるけど、そうでなかったら、こういう雑然とした感じだと我慢できない人も多いのでは なかろうか。決着が付いていない問題は、もうちょっと論理を整理して書かないと、雑然として頭に残らない。 たとえば、ケロジェンについて、定義は2章3節 (pp.76-90) に書かれているが、なぜ成因論で重要だと 考えられているかの説明が十分にないまま3章2節の p.148 あたりからケロジェン根源説が出てきて、 私のような素人は納得できないまま話が細かい方へ行ってしまっている。
図もわかりづらいものが多い。たとえば、図 18 に石油の相図の模式図が書かれているが、点 E と F から変な縦線と横線が 引かれており、そこに「凝縮気相」などと訳のわからない言葉が書かれているので、私は図の見方が分からなくなった。 ネットで類似の図を検索して、その縦線と横線と「凝縮気相」は要らないのだと知り (たとえば、Reservoir Fluid Types in IHS Harmony)、意味が分かるようになった。