「地球内部ダイナミクス」吉田担当分各回の内容(2015年度)


地球科学史の本 Stephen G. Brush (1996) A History of Modern Planetary Physics -- Nebulous Earth, Cambridge Univ Press の 2.1, 2.2, 2.3, 2.5 の解説をしながら、関連する力学や電磁気学の講義をする。

節題目内容等
はじめにヨーロッパの大学における科学の受容 14/22 西ヨーロッパ主要三カ国(英仏独)の大学で科学の受容されたのが 19 世紀後半であることを説明する。 三国の中ではフランスが早く、次いでドイツが科学の中心になった。イギリスが最も遅れた。
2-1A journey to the center of the Earth 1,24/22,5/07 これから学ぶ地球内部科学史の概説の部分。5/7 には、Kelvin の地球固体説の大きな論拠となった潮汐に関して 基本的な理論の説明を行い、それに関する小レポート1回目を出す。
2-2Nineteenth-century debates 2,3,45/07,13,20 19 世紀前半は地球内部液体説が主流で、その上の地殻の厚さがどれだけであるのかが問題となっていた。 それに関連して、アイソスタシーの Airy 説と Pratt 説が現れた。アイソスタシーに関連して 5/13 には 平板による重力に関する小レポート2回目を出し、その解説は 6/10 に行った。 19 世紀後半に入ると、潮汐などを理由にして Kelvin が地球内部固体説を唱え、やがてこれが主流となってゆく。 19 世紀終わりには、Chandler 極運動が観測され、これも地球内部固体説を補強することになる。 5/13,20 には Chandler 極運動の基本的な理論の説明を行い、5/20 にはそれに関連して慣性能率に関する小レポート3回目を出す。
2-3Discovery of the Earth's core 4,5,65/20,6/10,17 19 世紀の終わりごろから地震学ができて、これによって地球内部構造が明らかになってくる。重要な研究としては、 Oldham (1897, 1906) や Gutenberg (1912) による地震学的コアの発見、Jeffreys (1926) によるコアが液体であることの確立、 Lehmann (1926) による地震学的内核の発見、Bullen (1946) や Birch (1952) などによる内核が固体鉄であるという推測、 Dziewonski, Gilbert (1970s) による内核が固体であることの確立がある。 これに関連して、5/20 には地球内部を通る波の名前と走時曲線、6/10 には Herglotz-Wiechert の方法、6/17 には Williamson-Adams の式の解説を行った。
2-5Geomagnetic Secular Variation 7,87/08,15 1600 年に Gilbert は地磁気の起源が地球内部にあることを示した。17 世紀には Halley が西方移動の概念を確立した。 19 世紀になって電磁気学が確立し、1940 年代に電磁流体力学ができて、外核の力学を考える準備が整った。 1940 年代から Elsasser と Bullard がダイナモ理論の先鞭をつけた。1950 年代からコア内の電磁流体波動論が作られ始め、 1966 年には Hide が西方移動を電磁流体波動で説明した。一方で、Elsasser, Bullard など初期の頃から、西方移動を 磁力線が流体運動に流されていると解釈する移流説もごく普通である。Kahle et al (1968) はその考えに基づいて、 コア表面の流れを推定した。その線の研究はその後もずっと続いている。 7/8 は予備知識として、現在の地磁気、磁場変動、磁場のスペクトルなどを概観し、コアの粘性や時間スケールを説明した。 7/15 には基礎知識として、磁場の誘導方程式を説明した。