地球惑星物理学大学院講義 2003 年シラバス
メールで流した案内
皆様
地物大学院講義の前期後半は吉田が担当します。
題は「相変化、固体の変形〜非平衡系の熱力学」とします。
講義のテーマを学生から募集していましたが、リクエストとして、
相図の話と岩石変形の話という2つがありました。これらは一見
別の話なのですが、非平衡の熱力学を軸にすると共通の視点から
串刺にして議論することができる部分もあります。そこで、上記
の講義をすることにしました。これは、平衡状態とちょっと平衡
からずれている状態とを熱力学的に扱って現象論的に動的な問題
を記述してゆくという方法です。
(注意1)6回程度の講義なので、講義で取り扱うのは全体のほ
んの一部です。相変化の問題にしても岩石変形の問題にしても、
本当はいろいろな切口があって、非平衡熱力学がすべてではあり
ません。逆に、非平衡熱力学にもいろいろな側面があって、相変
化や変形がすべてではありません。
(注意2)相図の話は、まずは平衡系が重要なので、大部分は平
衡系の話です。相平衡も1成分系と多成分系がありますが、時間
がないので1成分系だけにとどめ、多成分系はたぶんほとんどや
りません。
(注意3)当然、受講者が平衡熱力学の基本的知識を持っている
ことを前提とします。少なくともエントロピーが何かぐらいは知っ
ている必要があります。
予定はだいたい以下の通りですが、講義ノートを作り終わってい
ないので、成り行き次第でどうなるかわかりません。
1. 非平衡熱力学の基礎
affinity, entropy production など
2. 1成分系の相平衡
Clapeyron-Clausius の式, van der Waals の理論など
3. 相転移の速度論
拡散律速結晶成長、均質核生成論など
4. 変形の熱力学
5. 変形と相変化の間で:固体の非静水圧下の熱力学