地球の誕生
 今から約46億年前に原始太陽と小さな惑星が形成 され、これらの小惑星が衝突を繰り返して地球やその 他の惑星に成長していきます。この頃の地球は、微小 惑星の衝突エネルギーと水蒸気大気の保温効果で地表 面の温度は1500℃以上になり、地表には鉱物が溶 けたマグマの海ができ、水蒸気、二酸化炭素、窒素か らなる大気で覆われて、まだ液体の水はありませんで した。

海の形成
 地球が現在の大きさ近くになると、 地表の温度が徐々に下がり、大気中の 水蒸気が雨となり海を形成しました。 この雨には火山ガスに含まれる塩酸ガ スや亜硫酸ガスが溶けて酸性でしたの で、鉱物を溶かして、ナトリウム、カ ルシウム、マグネシウム、鉄、アルミ ニウムなどの鉱物の成分を海に溶かし 込みました。こうして、地球誕生後約 1億年くらいまでに、地球上のほとんど の元素を含んだ塩辛い、後に生命を生み 出す海の原型ができ上がりました。

現在の地球へ
 鉱物を溶かし込んで中和された海水に、大気中の二酸化炭素が溶 け込み、地球の大気は窒素を主成分とする大気に進化していきま す。そして約35億年前の光合成生物の誕生により、光のエネルギ ーを使って二酸化炭素と水から有機物が合成され、気体状の酸素が 生成されて現在の組成の大気へと変化していきます。そして海水中 では、溶け込んだ二酸化炭素や酸素の働きにより、原始の海に含まれ ていた様々な成分が沈澱して取り除かれ、主にナトリウムイ オンと塩化物イオンを含む、現在の塩辛い海水の組成に変化しました。この塩辛 い 味は、ナトリウムイオンと塩化物イオンの組み合わせが示す特徴です。

 地球の海の起源は宇宙から?
     降り注ぐ彗星や隕石に水
 近年、宇宙に関してこれまでの通念を覆すようなニュースが次々 に報 じられて目が離せません。金曜日(1997/05/30)のテレビ、新聞で は NASAの衛星画像データの分析から米アイオワ大学のルイス・フラン ク 博士が、大量の「宇宙の雨」が地球に降り注いでいる証拠を発見し た、 と報じています。地球の海の起源に関して彗星説があることは承知 して いますが、新たに「宇宙の雨」説が浮上して来て、いずれにしても これ まで無味乾燥と思われた宇宙空間には多量の水が存在していて、億 単位 の時間経過の中では、惑星の海を形成するほどの水の供給源になっ てい るかもしれない可能性が科学的現実味を帯びて来たように思われま す。

     大昔の海水は酸っぱかった
 地球が誕生した今から約45億年まえの海水は酸っぱい味だったのだそうで す。地球の誕生当時は、 地球自体から吹き出した多量のガスの中には水素、水蒸気、塩素が含まれていま した。そして、地球の 温度が下がりだすと空中にさまよっていた水蒸気は水となり、地上に雨となって 降りそそぎ、地下に浸 透した水は温泉のようにお湯となって地上に吹き出してきました。その繰り返し を何千年を続けている 間に海ができたそうです。地球内部から吹き出た塩素ガスは水に溶けやすく、雨 と一緒になって海に溶 け込み塩酸となり、強い酸性を示すようになり、酸っぱい味になったのです。塩 酸の海は、長い年月を 経て、海中の岩石の中の鉄やカルシウムなどを溶かし込み、徐々に海の水は酸性 から中性に変化して現 在のような海になりました。

 海水の成分
 19世紀の後半、イギリスの軍艦チャレンジャー号により、世界各地の海水が 採取され、エジンバラ 大学に送られてきました、同大学のディットマー教授は当時としては最高の化学 技術を使って、海水中 の主要な8成分を分析しました。その結果、濃度は海水のサンプル毎に変わって いるが、濃度比すなわ ち組成は著しく一定であることを発見したのです。海水中の物質の濃度は、海の 表面での水の蒸発や降 水、河川水の流入、北極海や南極海での氷の生成や融解などによって変化するだ けであるといえます。

太古の海水も塩辛かった
 生命が誕生した35億年前には、海水中の主成分であるナトリウム、カリウ ム、塩素などの濃度は、既に現在の濃度とほぼ等しかったと考えられていま す。 陸に含まれる無機成分は、雨に溶かされ、川となって海に運ばれていますの で、 海水中の塩分濃度は増加するはずですが、大きな変化がなかったことになりま す。これは、大気と海洋と陸と生物との相互関係による調節機構が働いている た めであると考えられていますが、まだ解明されていない地球科学上のテーマと な っています。