Fortran の歴史
吉田茂生
計算機の一番はじめは、octal code(数字の並び)でプログラムが書かれた。
しかし、これはプログラミングが大変面倒だった。その後、もう少し
分かりやすい(英単語が用いられる) assembly code が発明されたが、
これもかなり CPU の仕組みなどに詳しくないとプログラムが書けなかった。
その後、CPU の仕組みなどとは独立に分かり易く書けるプログラミング言語が
望まれるということで、IBM の John Backus のチームが Fortran という
高級言語を 1954-1957 年に開発した。Fortran は Formula Translation を
縮めたもので、数式が分かり易く書けることを示している。
その後、現在に至るまで、Fortran は科学技術の数値計算においては、
最も良く使われてきている。最近は C を使う人も増えたが、私は、
きちんと整った安全なプログラミングが出来るという意味で、依然として
Fortran の方が好きである。
言語は使われているうちに方言が出てくる。それは、いろいろな会社が
ときどき便利な機能を付け加えたりするせいである。そこで、
標準語を作っておかないと、ある計算機でつくったプログラムが、
他の計算機ではプログラムが走らない、ということになったりして困る。
そこで、標準語が制定される。これは時々更新される。それは、
方言が出てくると共に、ハードウェアの進歩にしたがって、
標準語もときどき更新しないと時代に取り残されるためである。
Fortran でも何世代かの標準語がある。
- Fortran 66 : 1966 年に ASA (American Standards Association) に
よって制定された。
- Fortran 77 : 1978 年に制定された。これは、長い間使われた。
事実、私もごく最近まで Fortran 77 ユーザだったし、いまでも
Fortran 77 ユーザは多い。
- Fortran 90 : ISO (International Standard Organization) 委員会 WG5 の下で
ANSI (American National Standard Institute) 公認委員会 J3 が開発。
配列、構造体などの機能が強化されている。1991 年制定。
- Fortran 95 : Fortran 90 の修正版。誤りや曖昧だったところを直すとともに、
並列計算用言語 HPF との相性も良くする。1995 年完成。ISO によって
1997 年に採用される。
- Fortran 2000 : 最新の規格のはずだが、まだ日本語の本などが出ていないので、
私は良く知らない。
参考文献
- Michael Metcalf and John Reid (1999) "FORTRAN 90/95 explained, 2nd edition"
Oxford University Press
- ラリー・ニーホフ、サンフォード・リーストマー (2001)(渡邊了介訳)
「入門 Fortran90」ピアソン・エジュケーション