「地球惑星数学及び演習」シラバス
基本情報
- 講義名
- 3年生向け「地球惑星数学及び演習」2単位
- 必修選択の別
- 選択。ただし、地球物理系に進学する者には必修である。
大気水圏系やシステム系に進学する者でも、その中の物理系の研究を
する場合は履修することが望ましい。その他の分野でも役立つと思う。
- 曜日と時間
- 水曜1、2限 (9:30-12:00)
- 担当教員 (メールアドレスの ((at)) は @ に変えてください)
- 城野信一(居室:E127, 内線:3556, e-mail:sirono((at))eps.nagoya-u.ac.jp)
- 吉田茂生(居室:E121, 内線:4580, e-mail:yoshida((at))eps.nagoya-u.ac.jp)
- 鷺谷威(居室:E168S, 内線:3043, e-mail:sagiya((at))seis.nagoya-u.ac.jp)
- 渡辺俊樹(居室:E273, 内線:3039, e-mail:watanabe((at))seis.nagoya-u.ac.jp)
- 講義日程
- 今のところ、全学的な休講日以外に休講を予定しているのは、5/17 です。
休講・休日の補講をしなければ、全部で 13 回の講義があります。
なお、休講の予定は変わる可能性もあるので、その都度掲示等に
注意してください。場合によっては、補講の可能性もあります。
4人の教員で以下のように担当します。
- 微分法と積分法 [城野] 4/12,19,26,5/10
- 常微分方程式 [吉田] 5/24,30,6/7
- ベクトルと行列 [鷺谷] 6/14,21,28
- フーリエ解析 [渡辺] 7/5,12,19
- 講義内容と目的
- 地球惑星科学によくでてくる数学のテクニックをコンパクトにまとめて
講義し、演習を通じてその理解を深めます。とくに演習では、基礎的な
諸問題を数多く解くことで、道具として数学が使えるようになることを
目指します。時間内の演習で足りない場合は宿題も出します。
講義では、数学的な諸概念のイメージを明確にすることと、
例題を通じてそれがどのように使えるのかを示すことに重点をおいて、
厳密な証明は省略します。それぞれのパートには直接的には以下のような
応用があります。
- Part 1 微分法と積分法
- 位置と速度と加速度の関係, 曲線で囲まれた領域の面積.
- Part 2 常微分方程式
- 惑星の運動、年代測定の基礎になる放射性壊変の式、
超高層大気のプラズマ粒子の運動、単純な気候モデル、
地震や重力を測定する機械の原理
- Part 3 ベクトルと行列
- 歪み・応力、最小二乗法、座標変換、電磁気の諸法則
- Part 4 フーリエ解析
- 波動・振動(そのほか時間・空間的に変動する現象何でも)、
スペクトル解析、電気回路、信号処理
- 評価の方法
- 試験 (50%)、平常演習点 (30%)、出席 (20%) の合計点を元に評価します。
8割以上が優、7割以上が良、6割以上が可、6割以下が不可、です。
平常演習点は、授業中の演習(黒板に出てきて解く)と小テスト、宿題
をもとに決めます。
講義の内容
- Part 1 微分法と積分法 [城野]
- 一変数関数の微分
- 微分のイメージ
- 微分の性質 (f+g)', (fg)', (f/g)'
- 微分の復習(練習) x^n, sin(x), cos(x), tan(x), exp(x), log(x)
- 合成関数の微分
- 高階微分法
- 対数微分法
- テーラー展開
- 多変数関数の微分
- 偏微分とは
- 偏微分の練習
- 合成関数の微分 (座標変換で練習)
- 多変数関数のテーラー展開
- 全微分
- 積分
- 微分と積分の関係
- 不定積分
- 部分積分
- 置換積分
- ガンマ関数, ベータ関数
- 多重積分
- Part 2 常微分方程式 [吉田]
- 常微分方程式とは何か?
- 初等解法:変数分離法など(Part 1 の直接的な応用ができる)
- 定数係数線形常微分方程式:強制項なし、強制項付き(Part 4 と関連)
- 定数係数線形連立常微分方程式(Part 3 と関連)
- 定数係数ではない線形常微分方程式
- 境界値問題と固有値問題(Part 3 と関連)[時間があれば]
- Part 3 ベクトルと行列 [鷺谷]
- 行列の基本変形と階数
- 行列式
- 逆行列と連立一次方程式
- 行列の固有値と対角化
- 座標変換
- テンソルと物理量
- スカラー場、ベクトル場の微分積分
- Part 4 フーリエ解析 [渡辺]
- 周期関数とフーリエ級数
- 複素フーリエ級数
- フーリエ変換
- デルタ関数
- 離散フーリエ変換
参考書
- Part 1 の参考書
- 高木貞二「解析概論」(岩波書店)
- 解析学に対する魂を感じることができる. 特に講義に関係する箇所は2, 3章.
- Part 2 の参考書
- 神保秀一「微分方程式概論(数学基礎コース=H4)」(サイエンス社)
- 平易で実用的な解説。この教科書の前半部の第3章までが
常微分方程式を扱っている(後半は偏微分方程式とラプラス変換)。
買う必要はないが、かなりこれにしたがって講義を進めて行くつもり。
- 笠原晧二「微分方程式の基礎(数学基礎ライブラリー5)」(朝倉書店)
- 上の教科書よりもう少し数学的に基礎的な部分が扱われている。
解の存在定理も扱われているし、上の教科書より一般論が書かれている。
- 寺沢寛一「自然科学者のための数学概論(増訂版)」(岩波書店)
- 物理数学全般のバイブルとして定評がある。境界値問題は、通常の
微分方程式の教科書には載っていないことも多いので(上の2つの
教科書を含む)、たとえばこれを参考にすると良い。
- Part 3 の参考書
- 和達三樹「物理のための数学」(岩波書店)
- Part 4 の参考書
- 大石進一「理工系の数学入門シリーズ6 フーリエ解析」(岩波書店)
- 基本的な内容は網羅されているのでこれで十分。
- 小暮陽三「なっとくするフーリエ変換」(講談社)
- 内容は基本的だが応用例がたくさん載っているので実用に目が行く人向け。