第 6 章 炭素物語―地球史から見た地球温暖化問題と石油資源問題

先週までで、地球惑星科学の基礎編を終わる。これからは「ちょっと役に立つ」 応用編である。時間の制約等もあり、最初に配ったシラバスとは予定を変更する。 これから2回が「炭素物語」で、その後2回で災害科学を見て行く予定。 最後の1回は予備。

これまで「役に立たない」側のことをやってきたので、これから役に立つ側のことも トピック的に取り上げてゆく。最初のシラバスとは違ってしまったが、ここでは 地球の歴史と環境問題の関わりを取り上げてみよう。

炭素は生命を作る分子の骨組みを作る非常に大切な元素である。 それだけでなく、二酸化炭素を通じた気候のコントロール、 化石燃料によるエネルギー供給という観点からも根本的に重要である。 それらの関わりを議論し、現代社会を議論する基礎としよう。

全体の構成は
基本編(今日) 1 存在形態 2 炭素循環 3 温室効果
応用編(明日) 4 地球の CO2 と気候の歴史 5 地球温暖化問題 6 資源エネルギー問題(石油、バイオマス)

6-1 炭素の存在形態

最初の方で述べたとおり、太陽系に存在する主要元素は、 多い方から、水素、ヘリウム、酸素、炭素であった。 ヘリウムは化合物を作らない希ガスだから無視するとしよう (地球が出来た熱い時代にほとんど飛散してしまった)。

以後、C を中心に考える。これは気候や資源を考える基本だからだ。 C が、H, O の存在下でどのような形態で存在しうるかをまず考える。

(1) 酸素と結合するもの(「酸化型」) [酸化数 > 0]

二酸化炭素、一酸化炭素、炭酸、炭酸カルシウム(方解石、霰石)、炭酸マグネシウム
  生成エネルギーは
    [講義では省略
    一酸化炭素:C + (1/2) O2 → CO + 110.5 kJ/mol (ΔH at 10^5Pa, 25℃)
                                     137.2 kJ/mol (ΔG at 10^5Pa, 25℃)
                         S0(標準エントロピー) = 197.56 J/K/mol
    ]
    二酸化炭素:C + O2 → CO2 + 393.5 kJ/mol (ΔH at 10^5Pa, 25℃)
                                394.4 kJ/mol (ΔG at 10^5Pa, 25℃)
                         S0(標準エントロピー) = 213.6 J/K/mol

    方解石 CaCO3 :卵の殻、貝殻など外骨格の材料
    霰(あられ)石 CaCO3 :真珠
    Cf. 脊椎動物の骨の材料は、主としてコラーゲンと結晶度の低い
        ヒドロキシアパタイト(水酸燐灰石)Ca10(PO4)6(OH)2

  [生成エンタルピー等は理科年表による]
     このことから酸素がたくさんある環境では、炭素は二酸化炭素になりやすいことがわかる。

(2) 水素と結合するもの(「還元型」) [酸化数 < 0]

メタン、各種炭化水素、有機化合物
  生成エネルギーは
  メタン:C + 2 H2 → CH4 + 74.85 kJ/mol (ΔH at 10^5Pa, 25℃)
                              50.84 kJ/mol (ΔG at 10^5Pa, 25℃)
                         S0(標準エントロピー) = 186.3 J/K/mol
    [講義では省略
  エタン:2 C + 3 H2 → C2H6 + 84.68 kJ/mol (ΔH at 10^5Pa, 25℃)
                                 32.93 kJ/mol (ΔG at 10^5Pa, 25℃)
                         S0(標準エントロピー) = 229.5 J/K/mol
    ]

    有機化合物:生き物の材料

  [生成エンタルピー等は理科年表による]
     このことから水素がたくさんある環境では、炭素はメタンになりやすいことがわかる。
     (エタンと比べるときは、炭素1個あたりで比べよう)
(3) 炭素だけの場合 [酸化数 = 0]
グラファイト、ダイアモンド
  先の生成エネルギーから H, O などがあると安定ではないことがわかる。
  C はそれほど多くないので、あまり重要ではない。
  [省略: H2O, CO2 or CH4 を作って、なお C が余る状況が必要だが普通は起こらない。]

登場人物は以上のようなものたちである。
エネルギー的に見て、基本は CO2 と CH4 である。
酸素がたくさんあると CO2 になり、水素がたくさんあると CH4 になる。

もうちょっとちゃんと言えば
酸素がたくさんあると(O と H で H2O を作ったとき O が余る)

    CH4 + 2 O2 → CO2 + 2 H2O(l) + 890.3 kJ/mol
       (燃焼、呼吸)
水素がたくさんあると(O と H で H2O を作ったとき H が余る)
    CO2 + 4 H2 → CH4 + 2 H2O(l) + 253.0 kJ/mol
        (二酸化炭素呼吸:ある種のメタン生成菌が行っている反応)
        [省略: Cf. メタン生成細菌には、有機物を分解して CO2 と CH4 にする
                   (メタン発酵)タイプのものもある。]

現在の地表環境は酸素がたくさんあるので、CO2 が一番起こりやすい存在形態。 要するに炭素やらメタンやら有機化合物はすぐ燃える。

[使用データは、上のものに加え
    H2 + 1/2 O2 → H2O(l) + 285.83 kJ/mol(ΔH at 10^5Pa, 25℃)
                          + 237.2 kJ/mol  (ΔG at 10^5Pa, 25℃)
                         S0(標準エントロピー) = 69.9 J/K/mol
 である]

6-2 炭素循環

その次の基本は、炭素が世の中をどのように巡っているか、ということである。

6-2-1 短期的炭素サイクル

まず一番大事なのは、生物による光合成と呼吸反応である。
CO2 + H2O ←→ CH2O + O2
[黒板図:短期的炭素サイクル]
[配布図:短期的炭素サイクル]

これに関してよくある初歩的な勘違い:樹木を燃やすと CO2 が増えるので環境に悪い。 樹木を燃やしても、その分植林をすれば、CO2 は増えない。

[図:もうちょっとくわしい短期的炭素サイクル]
もうちょっと詳しく書くとこのようになる。これはそんなに気にしないでください。

6-2-2 長期的炭素サイクル

[図:長期的炭素サイクル]
上の短期的サイクルだけだと、生物量が変わらない限り、大気中の二酸化炭素は増えも減りもしない。 地質学的スケールでは二酸化炭素は増減する。そのプロセスとして重要なものは
(1) 大気 CO2 を増やす要因
(1a) 脱ガス:火山ガスの主要成分は水蒸気と二酸化炭素
(2) 大気 CO2 を減らす要因
(2a) 風化と炭酸塩の沈殿
(2b) 有機炭素埋没

減らす要因に関して詳しく説明する

(2a) 風化と炭酸塩の沈殿
物事を単純化して考えるために、CaSiO3 という珪酸塩が風化されるとする。 前に、世の中の石の代表は MgSiO3 だと言った。MgSiO3 でも良いのだが、 いろいろ紛れがあるので、CaSiO3 にする。

CaSiO3 + 2 CO2 + H2O → Ca^{2+} + 2 HCO_{3}^{-} + SiO2
これで、二酸化炭素が 2 mol 消費され、珪酸塩が水に溶けて、やがて海へ流入する。 海では、この炭酸水素イオンがやがて炭酸塩になる。
Ca^{2+} + 2 HCO_{3}^{-} → CaCO3 + CO2 + H2O
現在では、この反応は生物が殻を作ることによって行っている。たとえば、サンゴとか プランクトンである有孔虫などである。上の二つを合わせると、結局
CaSiO3 + CO2 → CaCO3 + SiO2
となり、岩石成分 1 mol の風化で二酸化炭素が 1 mol 消費されて、炭酸塩となる。

(2b) 有機炭素埋没
有機炭素を腐らせないで地中に埋めることが出来れば、短期的炭素サイクルを ちょん切って大気 CO2 を減らすことが出来る。 その有機炭素は化石燃料になりうる。そして、二酸化炭素が減って酸素が増える。

最後に、人為的原因による二酸化炭素の増減で重要なプロセスは、もちろん
(1b) 化石燃料の燃焼
いったん埋没した有機炭素である化石燃料を燃やすと、大気 CO2 が増えることになる。

[図:堆積物中での炭素の存在形態]

有機炭素:無機炭素=1:5
これは、もともと CO2 ができやすく、その CO2 は海の中で生物が殻を作って 石にするから量が多い
石油:有機炭素全量=1:10000
利用できる石油(貯留岩):利用できない石油(非貯留岩)=1:240

そういうわけで、石油は希少資源。

6-3 二酸化炭素と温室効果

温室効果の基礎を説明する。

まず、次のことを認めてもらおう。 温度が T の不透明な物体は表面から光として単位面積あたり

I = σT^4
のエネルギーを放出する。これをステファン・ボルツマンの法則という。 ここで、σ = 5.67 x 10^{-8} W m^{-2} K^{-4} である。 こうなる理由は、物理をきちんと勉強しないと言えないのでここでは省略する。 要するに、温度が増えると温度の4乗にしたがって急激にエネルギー放射が増えるということだ。

これを基にして温室効果がどういうものか考えてみよう。温室効果の本質は、 大気は太陽光のような可視光線は通す。一方、地球は赤外線で光っているのだが、 大気は赤外線に対して透明でない、ということだ。

これだけでは何のことやら、だろうから、もう少し説明する。 地球の表層のエネルギー収支の基本は

太陽から可視光としてエネルギーを受け取り
地球から赤外光として宇宙空間にエネルギーを捨てる
である。その出る方に関所があるので、いわば渋滞して(喩えが悪いか?) 温度が上がるというのが温室効果である。

大気において温室効果を持つガスとしては、水蒸気、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、 フロン、N2O、オゾンなどが重要である。 とくに、二酸化炭素、メタン、フロン等、炭素を含むガスに大きな温室効果があることに 注意する。温室効果の能力としては、

CO2 : CH4 : N2O : O3 : フロン = 1 : 10 : 100 : 1000 : 10000
と言われている。ただし、CO2 が量が多いので最も重要である。

[図:温室効果の簡単モデル]
もう少しだけ定量的に考えるために、 大気を赤外光に対して不透明な1層の物質としてモデル化しよう。 すると、地表に関するエネルギーバランスは

I_E + σT_a^4 = σT_g^4
大気に対するエネルギーバランスは
σT_g^4 = 2 σT_a^4
となる。合わせると、
σT_a^4 = I_E
σT_g^4 = 2 I_E
そこで、実際に数字 I_E = 241 W m^{-2} を入れて計算すると
T_a = 4√(I_E/σ) = 255 K
T_g = 4√2 4√(I_E/σ) = 304 K
となる。実は、大気の枚数を n 枚にすると
T_g = 4√(n+1) 4√(I_E/σ)
になっていくらでも温度を上げられる。問題は、大気が不透明層何枚分に当たるかと いうことで、それは本当はちゃんと計算しないとわからない。でも、現実的に 地表の温度は 300 K くらいだから、1枚分くらいというのが現実だろう。

ここまでが温室効果の原理である。

[以下、あんまりたいした結果が出ないので、省略]
さて、温室効果気体がたとえば1割増えるとどうなるかを考えよう。 現在は大気は不透明層1枚分だとして、1.1 枚分に増えたとする。すると、

T_g = 4√2.1 4√(I_E/σ) = 307 K
つまり、温室効果が1割くらい増えると、3 度くらい温度が上がる。

6-4 地球の CO2 と気候の歴史

[図:CO2 の歴史 870-1-med.gif]
図は、古生代以来(6 億年前以来)の大気 CO2 の量の変遷を表したものだ。 縦軸は現在の CO2 の何倍の CO2 が過去にあったか、を示している。 つまり、現在の 20 倍の CO2 が大気にあった時代もあった、ということだ。 だから、現在の二酸化炭素問題はたいしたことがないというのは短絡的だ。 もうちょっと話をさせてほしい。

大きく2つのトレンドを見て欲しい。

(1) 過去から現在に向かって、だいたい減少傾向
説明:太陽放射の増大と Walker feedback による温度調整

星の進化の理論から太陽放射は時代とともに少しずつ増えている。 逆に、過去に行くと太陽が少し暗くなっている。

では、過去ほど寒いかというとそういうことでもない (faint young sun paradox)。

Walker feedback
寒くなる→風化が減る→相対的に脱ガスが多くなり、大気に CO2 がたまる →温室効果で暖かくなる
逆に、たとえば太陽放射が増えて
暑くなる→風化が増える→相対的に脱ガスが少なくなり、大気から CO2 が減る →温室効果で寒くなる
こういう理由で温度が調整される。そこで、過去ほど CO2 が多い。
(2) 古生代と新生代に二つの山
説明:火山活動の活発化による脱ガスの増加
[図:Wilson cycle]
その結果として、6 億年以降大きく3回の氷河時代がある。
  1. 6 億年前(全球凍結)
  2. 3 億年前(石炭紀〜ペルム紀)
  3. 250 万年前以降現在まで(第4紀):現在は間氷期(1970 年代は氷河期を心配していた)

[氷期・間氷期サイクルは省略するか?]

6-5 地球温暖化問題

参考書:米本昌平「地球環境問題とは何か」(岩波新書)
地球温暖化問題の政治的な側面がわかる

実際の二酸化炭素温暖化問題を考えてみよう。 これが温室効果の何割増にあたるかは実は丁寧な計算をしないとわからない。 しかし、大気大循環を含めてもっと丁寧な計算をすると、CO2 が倍増したとき、 温度上昇は 1.5 - 4 度くらいだろうと言われている

IPCC (Intergovernmental Panel on Climate Change) の 2001 年のレポートを見る (これが一応の世界のコンセンサス:国連後援の科学的アセスメント機関)
[spm.pdf : IPCC 2001 Summary for PolicyMakers]
[図:過去千年くらい] smp.pdf の中の図

現状認識

  1. 地球の平均気温は 20 世紀の間に約 0.6 度上昇した。

    Cf. 秋山 (2004) 地学雑誌の記述
    天明や天保の大飢饉が起こった 15-18 世紀の小氷期は 1960-1990 より 平均気温が 0.5 度低かった。
    中世の温暖期 (10-13 世紀)は現在より気温が 1-2 度高かった (グリーンランドは緑の島だった)
    (1-2 度は global ではないのでは?要 check)

  2. 山岳氷河の後退が広く見られた。
  3. CO2 濃度は 1750 年以降 31 % 増加した(過去 42 万年間で最も多い)。 また、増加率は過去2万年で最高。

    Cf. Sundquist and Visser, 2004, in Treatise on Geochemistry によると、
    大気中の二酸化炭素は産業革命以後 20 % くらい増えている。 [420 Pg C → 590 Pg C]

  4. CO2 増加の 3/4 は化石燃料の燃焼によるもので、残りは森林減少による
  5. CH4、フロン、N2O も増加してきている。1750 年以降の温室効果ガス増加のうち、 CO2 が温室効果に与える影響は 60 % を占め、残り 40 % がその他のガスである。
  6. 結局、過去 50 年間の気温上昇は、人為起源のものである可能性が高い。

将来予測
[spm.pdf 中の図:配布]

対策の問題

京都議定書 (1997)
先進国で CO2 排出を減らそうとした(米国は離脱)
日本は、1990 年に対して 6 % 減を約束した (2012 年までに、日本 6 %、米国 7 %、EU 8 %):日本が一番たいへん
ところが、1998 年で 1990 年に対し 5 % 増! 目標達成の見通しは暗い
原因:ほとんどは運輸部門(とくに自家用車)の伸び
1990 年から 1998 年で自家用車による CO2 排出が約 3 割増
しかし、自家用車は規制をかけづらいし、トヨタは日本経済の牽引車

6-6 石油エネルギー問題

資源の蓄積には時空間分布に偏りがある。どこにでもあるわけではないから価値がある。 また、熱力学的に不安定なものも多い。だからこそ価値がある。 今回は現代という時代に最も重要な資源である石油に絞って話を進める。

[表:石油の成分]
そのためにまず、石油とは何かということを見てゆこう。 そもそも、石油は単一の物質ではない。 石油とは、ふつうには、炭化水素を主とする有機炭素の混合物で液体のもの、である。 しかし、英語の petroleum は、液体の油(oil)、気体の天然ガス(natural gas)、 固体の炭化水素類(アスファルト、ワックスなど)を含むもので、専門家は これらをまとめて石油ということが多い。 産地や年代によっても中身は異なる。

[省略:石油は、貯留岩と呼ばれる砂岩や炭酸塩岩の粒の隙間に含まれている。 それを集めて資源にする。]

もうちょっと広く見ると、化石燃料とは、生物遺骸が有機炭素として残っているものである。それには、石油、天然ガス、石炭がある。それらの中間的なものもある。また、 とくに天然ガスでは、生物起源だが遺骸起源ではないもの、無機起源のものもある。 石炭は植物起源であることがはっきりしている。それに比べれば、石油の起源はわかりにくい。 それは、一言で言えば、液体には地質学の方法の重要なものが使えないからだ。 石炭だと植物の形が残っているが、液体になると残らない。また、液体は出来たところから 移動してしまうので、もともとどういう場所で出来たのかわからない。 ただし、生物起源であることは炭素同位体が δ13C が -25〜-30‰ と軽いということで、 まず確かである。

[図:続成作用に伴う石油の生成]
現在考えられている石油の生成プロセスは図の通りである。 石油は、堆積岩の中で有機物がだんだん変化してゆくことでできる。 元になる有機物が何かは場所によって異なる。 まず、何らかの理由で、有機物が分解されずに残ることが必要(還元的環境)。 それが、いったんある程度分解され再び重合してケロジェンと呼ばれる複雑な 高分子化合物の混合物になる。その後、熱などである程度分解したものが 石油であると考えられている。

[省略:化学成分の特徴から判断すると、たとえば中東の石油は、おそらく海底で出来たのであり、 藻類などに由来したもののようだ。一方で、アメリカの石油は陸とか海でも 河口付近でできたもののようだ。]

[省略:石油が出来た年代としては、ジュラ紀から第3紀( 2 億年から 100 万年前)のものが ほとんどである。新しい石油がないのは、おそらく石油ができるために ある程度「熟成」期間が必要なせいである。古いのが少ないのは、「熟成」しすぎると、 分解しすぎてガスになってしまうためであると考えられている。程よい熟成期間が 必要なのである。 ]

[図:白亜紀の石油産地]
石油は、良く知られている通り、中東に多い。なぜか?

中東の石油は白亜紀のものだ。先の気温変化を見ると、温暖期。 これはかなり暖かくて、大陸氷河はなかっただろう。それから、 海の底も 15 度くらいあったらしい。その結果として、 海洋循環がかなり滞ったらしい。前に深層の熱塩循環の話をした。 そのときやったように、現在の海は、グリーンランド沖とかウエッデル海で 冷たくて塩辛い水が沈むことで海全体がかき混ぜられている。ところが、 気候が暖かいと沈む水がないので、海が混ざらない。その結果、海のある程度 深いところが酸欠状態になったと考えられている。 そのために、底にたまった有機物が分解されずに埋没した。 これが中東の大油田の起源だと考えられる。

このように、CO2 と資源問題はこういうところでも結びついている。

[図:石油の持続可能性]
石油はあと何年持続可能か?

昔から 40 年説があったが、今はそういうことを言う人はいない。 今世紀中になくなることはない。しかし、今世紀中に供給はピークを迎えるであろう。 需要は増えるだろうから、いつか必ず石油は高騰する。→真の石油危機 しかも、最後まで持つのは中東の石油。

需要の増加
とくに運輸部門が重要(発電などは、天然ガス、原子力など代わりがあるが、 自動車、飛行機の燃料は代わりがない) このことは二酸化炭素問題でも重要(京都議定書の目標は守れそうにない)
供給の増加は?
予測は難しい。
例:今のように1バレル40ドルというようなレベルだと、20ドルでは採算が 取れないような手間のかかる石油も使えるようになる。
石油価格の上昇
現在の高騰は、イラク戦争のせいだろう。しかし、本当の意味で需要が供給を 上回って価格が高騰することも 2020 年くらいまでには起こるというのが普通の予測。
これは良いことかも? CO2 問題の軽減に役立つ (ただし、ガソリン代が2倍になっても影響は小さいかもしれない:イギリスの例)

イラク戦争の背景:アメリカの石油戦略、日本の石油戦略
人道的な問題はもちろん重要だが、それは置いておいて、石油問題としてはこの戦争は何か?

[省略: 6-7? バイオマスエネルギー
木材は昔からエネルギー源として使われた。 [文明の盛衰と木材の過剰伐採] 現在言われているバイオマスも木材エネルギー。昔とは何が違うのか? 北欧の取り組み ]